晴れ、ときどき映画三昧

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「フィールド・オブ・ドリームス」(89・米) 80点

2015-01-25 08:09:39 | (米国) 1980~99 
 ・ 自分を投影できるか?で評価が違ってくるファンタジー。

      
 W・P・キンセラの原作「シューレス・ジョー」をフィル・アルデンが脚色・監督、ケヴィン・コスナーの本格的初主演作品でもある。

 米オハイオ州の農民レイ・キンセラ(K・コスナー)は、トウモロコシ畑で「君がそれを造れば、彼はやってくる」という声を聴く。彼は妻のアニー(エイミー・マディガン)の協力で畑を半分壊し野球場を造る。そこへ’19年ブラックソックス・スキャンダルで追放されたシューレス・ジョー・ジャクソン(レイ・リオッタ)が現れる。さらに「彼の痛みを癒せ」「最後までやり遂げよ」という声を忠実に果そうとする。

 男の夢の実現、家族・親子の絆をテーマに、夢を叶えようとするファンタジー。自分を投影できるか?で、好き嫌いがハッキリ分かれるストーリーだ。アメリカのベースボールは特別なスポーツであることを前提に見ると、まるで重みが違ってくる。我々世代にとって男の子を持つ父親が親子でのキャッチボールは、まさに憧れの存在・至福の喜びなのだ。残念ながら筆者は娘だったが、マネごとをした。

 テレンス・マン(ジェームズ・アール・ジョーンズ)のモデルはJ・D・サリンジャーで、「金はあるが心の平和がないのだ」などと意味深い台詞でアメリカの現状を嘆いている。夢に向かってやり遂げることが如何に大切かを暗示するかのようだ。

 当初主演はトム・ハンクスの予定だったが断られたという。代わりに演じたK・コスナーは本作を機にスター街道を歩んで行くが、その後の出演作にも多大な影響を与える作品となった。

 無名の大リーガー、ムーンライト・グラハム役のバート・ランカスターが、まるでK・コスナーへバトン・タッチするように最後の映画出演だったのも象徴的。