ブログ 「ごまめの歯軋り」

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電気料金値上げ 反発を和らげるため苦労しています電力会社  

2008年06月28日 | 時事問題
asahi.com 2008年6月28日5時57分
裏技「いったん値下げ」 認可・公聴会を回避
 電力各社 電力各社が電気料金を値上げするために、いったん値下げする裏技を使い始めた。今春、北陸、中部が相次いで実施し、26日に改定を発表した東京や値上げ検討中の九州、中国も同じ手法を採る見通しだ。「据え置き」と説明している会社もあるが、法律上、値下げにあたり、国の認可や公聴会を回避できる。設備費や経費を削ってコスト合計を減らす半面、そのうちの燃料費は引き上げて、以後、燃料高騰分を自動的に料金に転嫁できる金額の上限を高くする。
 電気事業法は99年の改正で料金本格改定による値下げの場合は届け出制に改めた。しかし、値上げは今も認可制で国が原価を査定し、消費者の意見を聴く公聴会が必要だ。

燃料費調整制度の上限は大幅に「引き上げ」、料金は「据え置き」??? 
今回基準燃料費価格のみを届出る事が最大の目的で、そのため一時的には赤字になっても料金は引き下げる。そのあと新基準燃料費価格で自動的に計算されるので、値上げ申請はしなくともいい。これは経済省の官僚と相談して決めた事。どちらにしても苦しい状況で、料金値上げは待ったなし。



読書ノート 北岡伸一著 「国連の政治力学」 中公新書

2008年06月28日 | 書評
国連活動は国際政治の場ー日本常任理事国入り失敗をふまえて 第8回

Ⅲ 安保理改革の軌跡(常任理事国入り運動) (2)
 最も激しく反対したのが中国である。アジアの覇権を目指しているのか中国は日本の立場を認めようとしない。中国は国内では反日デモを扇動して日本施設への襲撃を始めた。東京裁判、サンフランシスコ平和条約、日中国交回復、南京事件、教科書問題、靖国参拝問題、軍国主義復活などが再燃した。これには小泉首相の反アジア喧嘩外交も悪い影響をした。要するに中国は常任理事国と云う棚ボタの既得権を国際政治で後生大事に120%活用したい姿勢が良く分かる。

 もっと深刻な問題は日本政府の煮え切らない態度である。「常任理事国入りは外務省の悲願」というような態度が見えるのである。当時の小泉首相はあえて中国を刺戟する言動を得意になって行って事態を悪化させ、アメリカのブッシュ大統領に電話をして妥協を打診することもせず、代表団の仕事を見殺しにした。そしてアメリカ政府が強く云うことには絶対服従と云う態度で終始したことである。「アメリカが日本の常任理事国入りに反対なら仕方ない」でお終いである。G4案は2005年5月に、常任理事国を六ヶ国増やして十一ヶ国に、非常任理事国を四ヶ国増やして十四ヶ国にするものだった。この案で6月には共同提案国三十三ヶ国を集めた。8月にはアフリカ連合は拒否権を持つ常任理事国を2つ要求する案が出て改革運動は2/3の賛同を得られず挫折した。反動から日本の分担金率を下げる運動をするべきだと云う意見も出る始末。

文芸散歩 「宇治拾遺物語・十訓抄」 小林保治・増古和子・浅見和彦[校訂・訳]  小学館

2008年06月28日 | 書評
日本の中世に生きた人間の多様な人生模様 人生色々・男も色々・女も色々 第7回

宇治拾遺物語

山伏が舟を祈り返す事
 越前国甲楽城の渡しで、けいらく坊と云う修験者が船に乗ろうとしところ、船頭は無視して船を出した。悔しがった坊は船を戻せと叫んだが船は数百メートルほど沖に出た。濱の砂に膝まで踏み込んで坊は数珠をもみにもんで、「護法童子よ船を返せ、願いを聞き入れないと仏法を捨てるぞ」と袈裟を海に投げ込んで祈った。すると風もないのに舟は逆戻りをして濱に近づいてきた。すると坊は「舟をひっくり返せ」と叫んで船もろとも客は海に投げだされた。それをみて坊は思い知ったかといって立ち去った。末世といえど法力はまだあったと云う話。

鳥羽僧正が国俊と戯れる事
 近江の法輪院に鳥羽僧正には甥にあたる陸奥前司国俊と云う人がいた。国俊が車で鳥羽僧正を訪問したところ、二刻も待たされさらに僧正は勝手に国俊の車に乗って出かけてしまった。そこで腹を立てた国俊は、僧正がいつも藁と莚を浴槽に敷いてその上に寝転んで風呂に入る奇行があるのを知っていて意趣返しに出た。国俊は浴槽から藁と莚を取り除いて、代わりに湯桶を敷いてその上に囲碁盤を裏返しにして浴槽に沈めた。二刻ほどして帰ってきた僧正は裸になるやいなや湯船に飛び込んだ。すると碁盤の足でしたたかに腰を打ち気絶したと云う話である。どちらもいたずらが過ぎるようで、僧正は人を馬鹿にした仕返しに痛いお灸を据えられた

自作漢詩 「夏日江村」

2008年06月28日 | 漢詩・自由詩


晴江渺渺水盈     晴江渺渺 水盈盈

遠近高低飛燕     遠近高低 飛燕軽し

軒檻雀聲依帳聽     軒檻に雀聲 帳に依りて聽き 

緑陰斜日入窓     緑陰に斜日 窓に入りて明なり

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(赤い字は韻:八庚 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD 今日の一枚 ヴィヴァルディ「室内協奏曲集」

2008年06月28日 | 音楽
ヴィヴァルディ「室内協奏曲集」
リコーダー:ミカラ・ペトリ オーボエ:ハインツ・ホリガー ヴァイオリン:フェリックス・アーヨ バスーン:クラウス・ツーネマン チェンバロ:ジャコッティほか 
DDD 1983 PHILIPS

先ずこの豪華な演奏者の顔ぶれに驚く。世界トップレベルの器楽演奏者が独奏(ソロ)ではなく、コンチェルトに徹している。ヴィヴァルデイのこの室内コンチェルトはオーケストラ抜きの、対等な立場で複数の器楽を演奏するのである。リコーダーソロのコンチェルトと呼んでもいい曲が3曲あるが、基本的にはソロではなくソナタ3楽章(急ー緩ー急)である。収録されている曲は、RV94,103,87,86,101,108,95,105,92で、2枚のCDである。