ブログ 「ごまめの歯軋り」

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バイオ燃料の嘘を暴けないサミットとは?

2008年06月06日 | 時事問題
asahi.com 2008年06月06日09時21分
バイオ燃料見直し、踏み込めず 食糧サミット閉幕
【ローマ=小山田研慈】ローマで開かれていた国連食糧農業機関(FAO)の「食糧サミット」は5日夜、9項目からなる共同宣言を採択して閉幕した。焦点となっていたバイオ燃料の見直しは「詳細な検討や、技術などに関する経験を交換することが望ましい」との表現にとどまった。
 この問題ではアルゼンチンが強硬に反対、採択の時間が予定より4時間ほど遅れた。食糧不足に苦しむアフリカ諸国からはアルゼンチンに批判が向けられた。アルゼンチンの意見などを盛り込んだ添付文書をつくることを条件に、同日午後9時ごろ、共同宣言が採択された。

バイオ燃料とは米国の世界穀物メジャーとヘッジファンドの陰謀である
2007年の春、突然ブッシュⅡはバイオエタノールを打ち上げた。木材を燃やすこともバイオ燃料であるが、ここでは穀物を原料として発酵法でエタノールを生産し、自動車燃料の一部に混ぜることをバイオエタノールと定義しておく。日本では次世代エネルギーとして燃料電池を完成させ後は水素インフラを完成させるところまで迫った段階で、近代文明のアメリカのブッシュが50年以上も前の過去にもどってアルコール自動車を言い出すとは、言葉通りには絶対受け取れない。直ぐに見え見えのうそをついている。その前からヘッジファンドのサブプライムローン問題でアメリカ金融界のお粗末さが世界に曝露された。同時にヘッジファンドは原油先物取引になだれ込んでバレル110ドルを突破するような高騰を引き起こして止まるところを知らない。次は穀物市場の先物取引にヘッジファンドの金が流れている。バイオエタノールは格好の材料となった。原油と同じく穀物生産は別に減少したわけでもないのに、エタノール生産に使われて品不足となるような危機感を煽り立て、とうもろこし、小麦粉などの値段が高騰している。日本の食品工業界も連動して値上げに動いた。つまりサブプライムローンでしくじったアメリカの金融界がぼろを隠すために新たなターゲットを原油と穀物に求めているのである。ブッシュⅡが戦争に行き詰まって、こんどは金融資本のお先ん棒を担いでいるわけである。その流れでみれば「バイオエタノール」問題は笑止千番である。しかしヘッジファンドは技術的にどうこうではなく騒ぎになって人の興味が集まり資金が運用されればいいのである。一儲けしたら「バイオエタノール」問題は消え去るであろう。二、三年は続くだろうが。

読書ノート 長妻昭著 「消えた年金を追って」 リヨン社

2008年06月06日 | 書評
「ミスター年金」衆議院議員長妻昭氏が国会で暴く 第6回

問題の解決法ー信頼の回復 1)

政府が真摯に全面的解決を進める以外に信頼を回復する道はない。それには徹底した実態解明、責任追及、抜本的解決策の実行である。

1)徹底した実態解明
長妻昭氏が社保庁に請求してまだ回答のない主な項目は、消えた記録の実態(特に厚生年金)、5000万件の実態、特例納付の記録の実態、脱退手当金の実態、不在者デッチ上げの実態(分母隠し)、障害年金の実態(突然の打ちきり)、年金申請もれの実態、標準報酬月額入力ミスの実態、厚生年金未払いの実態、保険料払いすぎの実態、期限切れ納付の実態、受給死亡停止の実態である。

2)徹底した責任追及
責任には大きく三つある。発生責任、不作為責任、実態隠蔽責任である。問題は実に永い歴史を持っている。昭和38年行政管理庁が「整備不能、不完全、不明の台帳がある」と指摘したことに始まる。これに対して厚生省は年金給付時点で裁定するとか言い逃れをして調査しなかった。昭和60年9月国民年金台帳の廃棄命令が出た。それまでは5年保存であった。本当は生存者がいる限り保存しなければならない。廃棄命令について社保庁は国民保険・厚生年金者記録は膨大であるからと言い逃れをしているが、公務員共済年金など公務員の記録は永久保存している。官尊民卑思想が官僚に蔓延っている。そして政府と官僚の馴れ合いで政治家は殆ど官僚をコントロールできないことである。憲法15条「公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」を楯にとって、政治家からの独立,コントロールを受けない理由としている。かっての統師権を楯に取った帝国陸軍のようである。そして次は1年以上、国会での追及があったのもかかわらず、沈静化を口にした安倍内閣の不作為責任である。さらに事実を隠蔽し資料請求にまじめに対応しなかった村瀬社保庁長官、柳沢厚生労働大臣、厚生省官僚の実態隠蔽責任もある。

文芸散歩 「平家物語」 佐藤謙三校註 角川古典文庫

2008年06月06日 | 書評
日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章 第60回

平家物語 卷第十

海道下
頼朝の要請で、中将重衡は梶原平三景時に警護されて鎌倉へ送られた。ここは三首の歌を挿れた道行物語である。七五調の韻文で進行する、各地の名所を追う双六みたいな文章である。京から振り出し鎌倉で上がり。

千手前
鎌倉に着いた中将重衡は、頼朝の奈良炎上の責任追及に対して堂々と論を張り、衆徒の悪行を静めんが為の出陣で、奈良炎上は不慮の事故にすぎない、弓矢取る身の敵の手に渡って命失わん事全く恥じにて恥ならずといいのけた。頼朝も平家は敵にあらず帝王の命だからしかたないといって許した。中将重衡の身は狩野介宗茂に預けられ、丁重な扱いであったという。頼朝の粋な計らいで頼朝が三年寵愛した千手前という美人を差し向けた。千手前の今様、白拍子に合わせて中将重衡の琵琶演奏と漢詩の朗詠が一晩中繰り広げられた。それを聞いた源氏方の武将は平家の武将の歌人才人ぶりに感心したと云う。中将重衡のお相手をした千手前と云う才女は、重衡が南都で斬られたのち、信濃国善光寺にて彼の後世菩提を弔ったという。

自作漢詩 「荷 銭」

2008年06月06日 | 漢詩・自由詩


風江潮動碧涵     風江潮動 碧天を涵し

千里濛濛雨沛     千里濛濛 雨沛然

雲雀何方無麦隴     雲雀何方へ 麦隴無く 

蛙聲閣閣有荷     蛙聲閣閣と 荷銭有り

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(赤い字は韻:一先 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD 今日の一枚 フィリップ ピケット「カルミナブラーナ Vol.1-4」

2008年06月06日 | 時事問題
フィリップ ピケット「カルミナブラーナ Vol.1-4」
フィリップ ピケット指揮ニューーロンドンコンソート 
キャサリン・ボット(ソプラノ)ミヒャエル・ジョージ(バリトン)
DDD 1986-1988 DECCA

11-13世紀の中世の世俗歌曲集「カルミナブラーナ」は今では判読不能である。したがってオルフの「カルミナブラーナ」も、今日のピケットの「カルミナブラーナ」も皆創作である。オルフは管弦楽曲に、ピケットは当時の楽器に近いものを使った歌曲に仕立て上げている。当時の歌にどちらがどれだけ近いかは分らない。ピケットのほうが近いものにしようとする試みであろう。本CDは4枚からなっている。