ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「飛騨牛偽装問題」  食品業界の信用失墜

2008年06月24日 | 時事問題
asahi.com 2008年6月24日11時33分
飛騨牛偽装問題 岐阜県知事、議会で「大変残念だ」 
 岐阜県の古田肇知事は24日、県議会定例会の提案説明で丸明をめぐる「飛騨牛」の表示偽装問題に触れ、「(飛騨牛は)関係者の長い間の努力の積み重ねにより、今日、高い評価を受けるに至ったが、大変残念だ。事実関係を把握した上で、信頼を確保していけるように関連業界と連携しながら全力で取り組む」と述べた。

食品市場は「レモン市場」か
腐った(傷んだ)レモンが入り込んで、それが安いものだから市場で勝ち残る事を経済学では「レモン市場」という。べつめい「悪貨は良貨を駆追する」ともいう。買うほうが真偽を見極められずに、安いほうへ流れるのである。ブランド志向とは逆の方向である。

読書ノート 北岡伸一著 「国連の政治力学」  中公新書

2008年06月24日 | 書評
国連活動は国際政治の場ー日本常任理事国入り失敗をふまえて 第4回
Ⅰ 国連システムとアメリカシステム (2)

 国連総会は最も権威ある機関である。毎年9月の新しい会期の始まりは多くの政府首脳が総会に出席する。2005年9月14日に170カ国の首脳が集まって世界サミットが開催された。この合意形成プロセスには数ヶ月が費やされた。事務総長ほどではないが総会議長も存在感がある。総会議長には10名ほどの議事進行役が付く。「ファスルテータ」といわれる根回し役である。非公式なセミナーでの勉強会も重要で、アメリカのスタンレー財団が毎年6月にセミナーを開いて意見の交換をする。

 国連の歴史は国際連盟の失敗の歴史から英国がアメリカの参加を必須として、戦後処理のため米英を中心とした国連に、英国はフランスの参加を要請し、東西関係からソ連の参加を求め、アジアからアメリカの要請で蒋介石の中華民国をいれた。この五カ国が常任理事国になって51カ国の加盟国でスタートした。戦後直ぐ冷戦が始まり共産圏と自由主義圏の争いとなった。朝鮮戦争、ベトナム戦争、ハンガリー動乱、中東戦争を通じて国連は全く無力であった。東西関係では拒否権の連発で国連が機能することはなかった。1990年以降の冷戦終結と共産圏崩壊によって、アメリカ一極主義の下に地域紛争に国連平和維持活動(PKO)がしだいに根付いていった。戦後日本は国連主義であったことは一度もない。日本外交は日米安保条約を軸に展開し、沖縄返還交渉は日本外交の勝利の一つとされてきた。日本経済のグローバル化の証として、中曽根首相以来先進国首脳会議(サミット)への参加が日本外交の花となった。冷戦の終結によって国連の機能が生まれてから、日本に国際貢献が求められ、1990年湾岸戦争を期に1992年PKO法案が成立した。2001年の9.11同時多発テロいらい、テロ特別措置法が成立し、日本のインド洋での給油活動を始め、2003年自衛隊のイラク海外派遣が実現した。戦後60年も経ち、第二次世界大戦戦勝国及びその継承国だけが特権を持つ国連機構の改革が意識されるようになった。世界の実力ある国家がふさわしい役割を担うと云うことである。日本、ドイツ、インド、ブラジル(南アフリカ、ナイジェリア)などG4グループの旗揚げであった。

文芸散歩 「宇治拾遺物語・十訓抄」 小林保治・増古和子・浅見和彦[校訂・訳] 小学館

2008年06月24日 | 書評
日本の中世に生きた人間の多様な人生模様 人生色々・男も色々・女も色々 第3回


 「宇治拾遺物語」の話には読んで笑える話と、難しくて真意を測りきれない話がある。「小野篁の妙答の事」がそれである。遣唐使に反対して嵯峨天皇の怒りを買い隠岐に流された小野篁は文人嵯峨天皇の中国文化と日本文化の争いの協調と緊張関係の中で解釈しなければならない人物である。宇治拾遺物語にはさまざまな含意が込められている。深読みが要求される場合もある。天皇などの権威権力への尊敬と批判、仏教への信と不信、武士階級への尊敬と脅威など共存した複雑な意識が見られる。宇治拾遺物語は全197話からなる。今昔物語の1040話からみると1/5程の量である。本書はそのうちから37話を取り上げた。

 十訓抄も編者未詳の説話集である。十訓抄の奥書に六波羅左衛門入道、「正徹物語」に後藤為長ほか三人の説が挙げられる。要するに作者は分らない。十訓抄は人が身につけるべき十の徳目を挙げて、各々の章には序と一、二の説話が入れられている。説話と徳目がしっくりいかない場合もある。十訓抄はひたすら人に思慮深くあれと言っている。厳しい戒めの言葉というより、人間観察に基づいた人間理解と慈悲深い訓導の心に満ちているようだ。

自作漢詩 「江城夏至」

2008年06月24日 | 漢詩・自由詩
江城夏至橘花     江城に夏至り 橘花香る

雨歇蒸蒸畏日     雨歇んで蒸蒸 畏日長し

寂寂林間風弄影     寂寂たる林間に 風影を弄し
 
枇杷未熟不知     枇杷未だ熟さず 嘗を知らず

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(赤い字は韻:七陽 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)