ブログ 「ごまめの歯軋り」

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アホなG8財務大臣 雁首並べて無能

2008年06月15日 | 時事問題
asahi.com 2008年6月14日19時42分
原油・食糧高騰「インフレ圧力」懸念 G8財務相会合
 大阪市で開かれていた主要8カ国(G8)財務相会合は14日、共同声明を採択し、終了した。声明は原油や食糧の価格高騰が「世界の安定成長に重大な試練を与え、インフレ圧力を高める恐れがある」との懸念を表明。協調して対応し、投機資金の影響にも注意を払うことを確認した。
 議長を務めた額賀財務相は会合後の記者会見で「原油、食糧高騰について様々な意見があったが、事実関係がよくわからないというのが共通の考え方だ」と述べた。

今年のG8無能(東京、大阪) アメリカに対して何もいえず

 欧米金融機関はアジア・中東の政府系ファンドSWFからの融資(金利11%程度)でようやく息を継いだという感じである。メリルリンチはクエート・シンガポール・韓国などから1兆2000億円、モルガンスタンレーは中国から5350億円、USBはシンガポールから1兆円、シティーグループはアブダビ・シンガポール・クエートから2兆4000億円を借りた。巨大金融機関は2007年度下半年の赤字で4年間の利益をすべて吐き出した。現在は縮小均衡(リストラ)へと舵を切っている。証券業界だけでも四万人のリストラが発表された。2008年の東京G8では全くの無策に終始した。協調の仕様も無いのだろうか。

読書ノート 河野稠果著 「人口学への招待」  中公新書

2008年06月15日 | 書評
人口学は人口減少と少子・高齢化をどこまで解明したのか 第7回

出生力要因と結婚の人口学ー生物行動的近接要因

 人口学では出生力の要因として、一つは人間の生殖をめぐる生物的・行動的要因を「近接要因」と呼び、二つはその背景にある「社会経済的環境的変数」要因である。この章では出生力に直接つながる「近接要因」を取り上げる。死亡は生物的要因で決まるが、出生の過程は死亡と異なり、人間の意志的要素が加わって行われるのである。したがってさまざまな影響を受けやすい。人間は生物学的には妊娠をしている期間と母乳保育期間は受胎しない。したがって最低1年半ぐらいのサイクルで女性は15歳くらいから49歳ごろまで子供を生むことは理論上可能である。伝統的途上国社会が20歳から40歳まではそのタイプである。日本では30歳前後で二人生んで終了と云うパターンである。受精しても20%くらいは流産となるし、生涯不妊率は5%くらいはある。又避妊薬の開発で避妊が100%確実になった。日本人は性的行為が少なすぎるとかセックスレス夫婦が増えているとか、出生力抑制因子が多い。

 日本人は殆ど結婚を通じて出産をする。結婚をしたカップルの出生率は安定している。すると過去25年の出生率の低下は男女が結婚をしなくなったからだと言える。日本人の晩婚・非婚は男性の場合1980年から始まり、女性の場合1990年から始まった。2005年時点での30歳から34歳の未婚率は男性で47%、女性で32%である。初婚年齢は男性で平均30歳、女性は28歳である。ベッカーの理論では先進国の晩婚・未婚化は、結婚のもたらす経済的利益が減少したことである。国連でも結婚要因モデルとして、社会的要因、人口学的要因、結婚規範、個人的要因、結婚市場を挙げている。男性の結婚相手の選択幅(年齢や条件)は狭く、女性の選択幅は広いといわれる。このミスマッチが男性結婚率の低下につながっている。結婚市場としての「見合い結婚」、「社内結婚」、「恋愛結婚」、「地縁結婚」が減少し「友縁結婚」、「紹介業結婚」に移ってきているといわれる。この男女の出会い機会が狭くなっている事も重大である。晩婚化は受胎年齢・リスクの上昇となり、子供を生まないと決意する夫婦も多くなっている。「Two Income No Children」という子供なしで夫婦共稼ぎで豊かな生活というのも新人類の理想かもしれない。

文芸散歩 「平家物語」 佐藤謙三校註 角川古典文庫

2008年06月15日 | 書評
<日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章  第69回
平家物語 卷第十一

副将被斬
元歴二年五月六日、義経は大臣を連れて鎌倉に下る事に決定した。大臣には八歳の若君がいたが、将来これを副将にする思いで副将義宗と云う呼び名がついていた。別れの前日に若君と大臣は面会して別れを惜しんだ。副将を預かっていた河越小太郎重房は義経に伺い若君の処分を任されたので、六条河原で重房は副将の首を討った。付き添った二人の女房は首と亡骸をもって後日桂川に身投げをしたという。

腰越
五月七日九郎判官は大臣親子を警護して鎌倉に向った。梶原平三景時は判官より先に鎌倉に着いて判官の非を訴えれば、頼朝は都での噂や武将の意見も聞いて判官あやしと睨んだようだ。奇襲に長けた義経を警戒して軍を七重八重に置いて義経を寄せ付けず、大臣親子を受け取って義経を腰越に追い返した。この兄の仕打ちに義経泣くに泣けず、六月五日大江広元に手紙を書いて詫びととりなしを頼んだ。関東源氏は誰も義経を将軍とはみなさなかった状況で、義経の文はまさに「ヤマトタケル」のような戦に明け暮れ猶都に戻れない境遇に共通するものがあり涙を誘うようだ。

大臣殿誅罰
鎌倉殿、比企藤四郎義員を介して平家の大臣を尋問されたところ、大臣は変に居直ったので鎌倉殿は印象を悪くしたようだ。六月九日大臣親子を受け取り義経は都へ戻る事になった。二十三日近江国篠原宿に着き親子は別々の場所に移され、大臣には本性房湛豪と云う聖が引導を渡した。首切り役は橘右馬允公長という元は新中納言の侍であった。二十四日大臣親子の首が都にはいった。「生きての恥、死にての恥、いずれも劣らざりけり」

自作漢詩 「梅雨水郷」

2008年06月15日 | 漢詩・自由詩


宿雲覆水雨冥     宿雲水を覆い 雨冥冥たり

小燕雙雙啼不     小燕雙雙 啼いて停まらず

江上孤鴎天寂寂     江上の孤鴎 天は寂寂 

橋西両岸草青     橋西の両岸 草は青青

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(赤い字は韻:九青 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD 今日の一枚 テレマン「オーボエ協奏曲」

2008年06月15日 | 音楽
テレマン「オーボエ協奏曲」
オーボエ:ハインツ・ホリガー アイオア・ブラウン指揮 アカデミー室内管弦楽団 
DDD 1981 PHILIPS

テレマンのコンチェルトは現存するだけで120曲を越える。自由で多彩で分りやすい。緩ー急ー緩ー急の「教会ソナタ」形式で、5曲が収録されている。ハインツ・ホリガーは云うまでもなく現代オーボエ奏者の第一人者である。アカデミー室内管弦楽は現代的に颯爽とした協奏曲演奏である。