ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

過激な環境保護団体「グリーンピース」 手段を選ばぬやり方は反発を招く

2008年06月20日 | 時事問題
asahi.com 2008年6月20日12時29分
グリーンピースの2人逮捕 鯨肉持ち出し、窃盗容疑
 環境NGOグリーンピース・ジャパンが、調査捕鯨船が捕った鯨肉入りの段ボール箱を青森市内の運送会社から無断で持ち出した事件で、青森県警と警視庁公安部の合同捜査本部は20日午前、いずれもグリーンピースのメンバーで、東京都八王子市みなみ野3丁目、海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一容疑者(31)と、横浜市金沢区野島町、鈴木徹容疑者(41)を窃盗と建造物侵入の疑いで逮捕した。捜査本部は、2人の自宅や東京都新宿区のグリーンピース事務所などを捜索した。

グリーンピースの捕鯨反対運動は海賊行為 けっして許されるものではない
グリーンピースの主張はかって「塩化ビニール追放運動」、「調査捕鯨反対」といろいろあったが、主張はいずれも的を得ていない。今回の調査捕鯨で得られた鯨肉の一部を隊員の家庭に送る宅急便を強奪することは、なんと言っても犯罪である。
科学的資源量推定か漁獲量激減による絶滅種指定かは国際裁判所で議論すればいいことである。

慢性骨髄性白血病治療に朗報か

2008年06月20日 | 時事問題
asahi.com 2008年6月18日20時32分
慢性骨髄性白血病、根治へ治療法を開発 ハーバード大
 慢性骨髄性白血病の根治につながる治療法を、米ハーバード大医学部の伊藤圭介研究員らが開発した。マウスで成功した。人間の細胞でも同様の効果を確認した。 現在の抗がん剤治療で使われる薬は、白血病細胞のような増殖能力が高い細胞を標的にしている。このため、白血病細胞は殺せるが、増殖をしていないことが多いがん幹細胞には効きにくかった。
伊藤さんらは、まず「PML」という遺伝子が、がん幹細胞を休止期の状態にしていることを発見。さらに亜ヒ酸を抗がん剤と一緒に投与すると、このPMLの働きが落ちて、がん幹細胞の増殖が盛んになり、抗がん剤の効き目があがることを突き止めた。

慢性を急性に変え、制癌剤治療に持ち込む がん細胞休止遺伝子PMLを亜ヒ酸で弱体化 

読書ノート 河野稠果著 「人口学への招待」 中公新書

2008年06月20日 | 書評
人口学は人口減少と少子・高齢化をどこまで解明したのか  第12回 最終回

参考文献:松谷明彦・藤正 巌著 「人口減少社会の設計」(中公新書 )

松谷明彦・藤正 巌氏は経済縮小の将来像として次のような見解を示す。人口の減少は経済を確実に変質させる。第1は規模の縮小すなわち経済成長の低下である。第2に生産資本ストックの減少である。第3は不況の長期化である。これらを纏めてデフレスパイラルと呼称する。
1)労働人口の減少
 労働者の減少は経済成長に対してマイナスに働く(善か悪かという価値判断は別)。しかも労働人口の減少率は総人口の減少率よりも大きくなりダメージは加速される。日本の生産年齢人口(労働人口:15から65歳)の減少はすでに1996年に始まっており、経済成長率の大きな減少に連結するであろう。
2)国民総労働時間の減少
日本における労働時間の短縮は必ずしも自発的なものではなくても、ILOをはじめ世界的な労働条件の改善の流れの中で進行している。週労働時間は1990年代で日本が43時間、ドイツ38時間、米国41時間であるがこれが2030年には日本は2/31に29時間に縮小する。これも労働力減少をいっそう加速する。
3)経済成長率の低下予測
総人口減少と労働力人口減少に従って、国民所得も右肩上がりから2007年より確実に右肩下がりへ移行する。国民総所得は縮小するが国民一人当たりの所得はさほど低下しない。人口が減るからである。日本的経営は働く人にとって労働配分は少なく、それがかえって購買力の減退と不況の長期化という悪循環になっていることが分かった。国も企業も個人も金は持っているはずなの貯蓄に回り一向に世の中に出てこない。
「設備投資」には老朽化を補う更新投資は生産資本ストックが増加するわけではない。生産資本ストックが増加する設備投資を純投資という。バブル以降純投資は漸減を続け2012年からは明確に縮小になる。設備投資が縮小すると困るのは設備関連産業で、日本はその設備投資関連産業が経済に占める比率が30%を超えている。これまでの「投資が投資を呼ぶ」という構図が成立しなくなり、公共投資圧縮で土木・機械関連産業が窮地に追い込まれているのと同じ構図になる。企業は設備投資に備えて減価償却費を別途積み立てている。これは利益ではなく費用だとして税法上優遇されている。この企業の内部留保が膨大な額に上っており、設備投資が縮小すれば賃上げの資金が出来るはずなのに回ってこない。これを「貯蓄超過」という。企業は自分の手でデフレスパイラルを生んでいる。
4)拡大メカニズムの消滅
人口減少は日本経済に対して資源配分や所得配分に変更を迫るもので、その方向へ進めば「労働時間あたりの所得増大」につながる。ところがこういう改善をしないで無茶な規模拡大の景気刺激を行ったらどうなるのだろうか。経済活動の牽引力と抑制力は「人間万事塞翁が馬」のことわざのように「あざなえる縄の如く」裏表の関係にある。牽引力はすなわち抑制力に転化するのである。これがアダムスミスの古典経済学における「神の手」である。好況を予測して設備投資に走って、しばらくすると飽和を予測して生産調整・在庫調整になり設備投資を控えることの繰り返しがいわゆる経済学で言う「ストック調整」である。人口減少化の元では需要も縮小するので企業は生産能力を落として規模を縮小しなければならない。しかるに経営者は自分の任期中にやりたくないものだから決断をずるずる引き延ばす。したがって景気の底が見えてこない、不況の長期化になるのである。企業経営者が売上高や企業規模にこだわらず利益率を重視するようになれば需要動向に速やかな対応が可能になる。経済活動のトレンドが縮小へのドリフト曲線にあるならば、景気循環はその上に載った波動と考えられる。この波の振幅幅を小さく押さえ込むことが縮小経済への対応策である。この曲線は電気工学をかじったものならばすぐ分かるようにネガティブフィードバックNFB制御の問題である。経済振幅を早く押さえ込むにはダンピングファクターを小さくする必要がある。そして常に反対の制御力を働かせることが必要である。ここでへたなインフレ策を講じれば発振して機構は破壊される。

文芸散歩 「平家物語」 高橋貞一校注 講談社文庫

2008年06月20日 | 書評
日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章  第74回

平家物語 灌頂卷

女院御出家
安徳天皇の母で、入道相国の娘である建礼門院は壇ノ浦で捉われて、今は吉田山の麓に住んでいた。文治元年五月一日、二十九歳で御出家された。吉田の里では冷泉大納言隆房の北の方、七条修理大夫信隆の北の方の助けを得ながら生活されていた。

小原入御
吉田山は都に余りに近く人目もあるので、隆房・信隆の北の方の勧めと沙汰で小原の奥に寂光院と云うところへ移り住むことになった。付き添う者は大納言典侍の局と阿波の内侍の二人であった。小原の奥の景色の凄まじさを書き綴る文章は哀れを誘う。

自作漢詩 「首夏陽光」

2008年06月20日 | 漢詩・自由詩


長江渺渺水迢     長江渺渺 水迢迢

晴日暖風魚子     晴日暖風 魚子跳る

首夏陽光還耿耿     首夏の陽光 還た耿耿 

落花散乱已蕭     落花散乱 已に蕭蕭

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(赤い字は韻:二蕭 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)