ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 長妻昭著 「消えた年金を追って」 リヨン社

2008年06月01日 | 書評
「ミスター年金」衆議院議員長妻昭氏が国会で暴く 第1回

 著者長妻昭氏を簡単に紹介する。東京都練馬区出身。東京都立練馬高等学校、慶應義塾大学を卒業し、日本電気の営業マン、日経ビジネス記者を経て、1995年7月22日に行われた第17回参議院議員通常選挙に平成維新の会公認で出馬するが、落選。その後、新党さきがけを経て旧民主党結党に参加し、1996年10月20日実施の第41回衆議院議員総選挙に東京都第10区から出馬し、当時自由民主党・清和会元職で後に志帥会旗揚げ参加の小林興起に完敗した(新進党現職鮫島宗明と支持層が重なった事が最大の敗因)。2000年6月25日に行われた第42回衆議院議員総選挙において東京都第7区から出馬し、大勇会で現職の粕谷茂を破り初当選を果たした。続く第43回総選挙(2003年11月9日)でも小選挙区で当選。第44回総選挙(2005年9月11日)では、自由民主党新人で当選後に清和会に属する松本文明に敗北したものの、比例復活により三選した。

 長妻氏は年金記録問題の際、急先鋒として一年以上にわたって政府・社会保険庁を追及しつづけ、5000万件の「年金もれ」の存在を明らかにした。このことから「ミスター年金」という異名を持つようになった。小泉純一郎政権時の2006年夏ごろから、委員会等で厚生労働省や社会保険庁の施策を盛んに追及するようになり、同時に支払った年金が未納扱いになっている事実を採り上げるようになった。2006年6月には前記の年金未納問題および「国民年金の未納者を行方不明者として扱い、納税率が上がったように見せる」「年収用件を満たしていない対象者の年金免除や猶予を意図的に行わない」ことを指摘し、さらに2006年7月には4件の年金記入漏れを社保庁に公式に認めさせることになった。 安倍政権となった2006年秋以降追及は本格化し、11月には36万人分の年金漏れを指摘し、2007年2月には年金の納付記録漏れが2006年6月現在で5000万件以上あることを柳沢伯夫厚生労働大臣に認めさせるに至った。 2007年5月の年金記録問題では民主党内で率先して自民党の対応を批判し、それがメディアで報道された。テレビ朝日系列の『サンデープロジェクト』に出演した際には、田原総一郎から、「民主党は長妻さんに5000万くらいボーナスを出すべきですよ」と冗談を受けた。

読書ノート 国貞克則著 「財務三表一体理解法」 朝日新書

2008年06月01日 | 書評
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書のつながり 第4回

財務三表の構造 (2)貸借対照表 BS

 BSの右の負債と純資産の部はお金の調達を示す。負債は借りてきたお金、純資産は自分で稼いだお金である。BSの左の資産の部はお金が何に使われているかを示す。右左の部内でのお金の項目は現金に流動化しやすい順に並んでいる。流動負債は1年以内に返さなければならない負債、固定負債は1年以上先に返すべき借金である。純資産の部は資本家から入れてもらった資本金や自分で稼いだ利益剰余金ですので返す必要はない。左の資産でも流動資産(現金、売掛金、商品)は1年以内に現金になるもの、固定資産は有形(設備など)、無形(暖簾料など)にわかれ、さらに開発費などの繰延資産は現金化するには1年以上先と見込まれるもの。この会社がお金を支払う能力があるのかは流動比率=流動資産÷流動負債でわかる。比が1より大きければ安心だ。資産から商品(在庫)を引いた当座資産を使った当座流動比率の方がもっと確実である。当座比率が0.8以下であれば危険な会社である。このあたりを営業マンは気をつけなければならない。なぜ収支計算書では会社の全貌がつかめないかと言うと、現金の入りと出だけを記載した収支計算書では財産や借金の規模が見えないからである。会計は現金だという見方は近視眼的である。またPLと現金の動きは一致していません。利益が出ているのに現金がないという事態もあるのです。だからBSが必要なんです。


文芸散歩 「平家物語」 佐藤謙三校註 角川古典文庫

2008年06月01日 | 書評
日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章 第55回
平家物語 卷第九

逆落
源氏の生田の戦いは凄まじい争いとなったが、雌雄を決することは出来ず膠着した。そこで七日、九郎御曹司義経三千騎は鵯越えを敢行する事になるのである。断崖の上から平家の城郭を見下ろしていた義経は、「馬を落としてみよ」とためしに何頭かの馬を崖から落とした。中にはうまく下りられた馬がいた。義経は自ら三十騎ばかりで真っ先に降りれば、続いて三千騎も皆鵯越えができた。平家の屋敷を焼き払い濱へ押し寄せると、不意を突かれた平家軍はただ逃げ惑うばかりであった。船に乗って逃げた平家も多かったが、能登殿教経は馬で西に逃げ、播磨の高砂で船に乗って讃岐の屋島へ渡った。この鵯越えで平家軍は総崩れになって、一気に勝敗が決した。この鵯越えの戦いで義経は不朽の名将(軍事的天才)と謳われるようになった。

盛俊最後
西が崩れたと知った東の生田の森の大将軍新中納言知盛卿は我先にと逃げ出した。越前前司盛俊は山手の侍大将であったので、逃げることは出来ないと悟って、よき敵を探していた。そこへ源氏側の侍猪俣小平太則綱が攻めてきたので組み合いになり、則綱を押さえつけ首をはねようとした時相手が命乞いをするので許した。ところが隙を見て則綱に逆に刺し殺され首をとられたという。この話は戦場ではありえない話だ。どこかにウソがある。平家の侍は何処までもお人良しか馬鹿に描かれている。

自作漢詩 「終日雨声」

2008年06月01日 | 漢詩・自由詩


啼血滴花愁殺     啼血滴花 人を愁殺す

断腸終日雨聲     断腸終日 雨聲頻なり

不才随夢他郷老     不才夢に随い 他郷に老ゆ 
  
多病催帰幾度     多病帰を催す 幾度の春

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(赤い字は韻:十一真 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)

CD 今日の一枚 「ルネッサンス期の詩篇集」

2008年06月01日 | 音楽
「ルネッサンス期の詩篇集」
ジェレミー・サマーリ指揮オックスフォード・カメラータ合唱団 
DDD 1991 NAXOS

旧約聖書「エレミア」(哀歌)よりとった詩篇集である。ローマカトリック教会の晩祷で歌われる。本CDにはホワイト、タリス、パレストリーナ、ラッスス、ブルトという16世紀末を代表する五人の、ルネッサンスの宗教音楽「ラメンテーション」を収録している。いずれも清溢な音楽である。