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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

この外部監察チームの調査報告書を読んでみたい。

2013-02-11 10:05:34 | ニュース
http://www.asahi.com/national/update/0211/OSK201302100116.html?tr=pc
(朝日新聞デジタル:「暴力、自殺の一員」外部監察で認定 桜宮高問題 2013年2月11日付け配信記事)

この記事が朝日新聞の朝刊には出てました。毎日新聞には出てなかったです。義父母のところに2紙届くので、それで確認したのですが。
その上で、基本的に事実経過の把握ということで、外部監察チームが一応、これまで調査したことをまとめて報告した、ということ。そのことで、本件は一応の区切りを迎えるわけですが・・・。実際にこの現物の報告書、私、読んでみたいですね。
それにしても、この新聞記事を見る限り、私は「???」がたくさんつく調査ですね。
この記事から受けた印象ですが、亡くなった子どもの遺書などにつづられていて、学校や市教委の側として認めざるを得ない事実について、外部監察チームをまじえて経過を把握し、これが「免職」相当の懲戒処分事由に該当するかどうかを検証する形で調査したのではないか。そんな風に思ったのです。
別の言い方をすると、当該顧問にすべての非をを負わせ、「免職」処分にすることで、この件を早期に「終わったことにする」ための調査が、外部監察チームの関与という形で行われたのではないのか、ということ。あるいは、市長や市教委として「早期の幕引き」をはかるために、あえて当該顧問と亡くなった子どもの間に起きたことを検証し、その背景要因には踏み込まず、顧問の懲戒処分で決着をつけようとしているのではないかと。
たとえば、なぜこの報告書は「体罰」を「暴力行為」と言い換えているのでしょうか。もちろん、この顧問の行ってきたことは暴力に他ならないわけですが、私にはどうしても「部活中の暴力や体罰は許さないが、生徒指導上には体罰が必要なこともある」といった、あの市長の意向を、この報告書の表現にはどうも感じとってしまうんですよね。
また、亡くなった子どもについて行われた暴力行為について調査をするのは当然ですし、その結果にもとづいて懲戒処分が行われるのも妥当でしょう。ですが、その部活でなぜ暴力行為が常態化していたのか? 他の教員も市教委もその部活には外から口出しできなかったのはなぜか? 過去に苦情があったときの対応がなぜうまくいかなかったのか? そのことについて、外部監察チームは検証しないのでしょうか? ここも明らかにしないことには、やはり当該顧問に責めのすべてを負わせて、他の関係者が「逃げる」ことを可能にしているかのように見えてしまいます。
そして、この報告書が出る前に新聞記事などで小出しに出ていた部活中の体罰問題についての調査結果では、亡くなった子どもの居たバスケ部を含む3つくらいの部活で体罰が常態化していた、という話をしていますよね。でも、あの入試停止騒動の頃には、「いろんなところで体罰が常態化している」という前提があって、「だからこそ体育系2科では、新入生の募集はムリ」という話をしていたかと。この報告書の内容だと、「じゃあ、あの1月の入試停止の大騒動ってなんだったの??」となりませんか?
そういう意味で、この調査報告書の現物、読んでみて、「まだ大事なことが検討されていないのではないか??」と、報告書の中身の分析をしてみたいところです。