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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「いじめ防止法」の前に「学校保健安全法」の見直しを

2013-01-28 09:53:19 | ニュース
学校保健法を改正して「学校保健安全法」にしたときの、文科省の通知。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1285251.htm
ちなみに学校保健安全法の26条では、次のとおり書いてあります。

(学校安全に関する学校の設置者の責務)
第二十六条  学校の設置者は、児童生徒等の安全の確保を図るため、その設置する学校において、事故、加害行為、災害等(以下この条及び第二十九条第三項において「事故等」という。)により児童生徒等に生ずる危険を防止し、及び事故等により児童生徒等に危険又は危害が現に生じた場合(同条第一項及び第二項において「危険等発生時」という。)において適切に対処することができるよう、当該学校の施設及び設備並びに管理運営体制の整備充実その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

で、この「加害行為」の解釈として、この文科省通知では、次のとおり書いています。

3 「加害行為」とは、他者の故意により、児童生徒等に危害を生じさせる行為を指すものであり、学校に侵入した不審者が児童生徒等に対して危害を加えるような場合等を想定していること。
 また、「加害行為」には、いじめや暴力行為など児童生徒同士による傷害行為も含まれるものと考えられること。この場合、いじめ等の発生防止については、基本的には生徒指導の観点から取り組まれるべき事項であるが、いじめ等により児童生徒等が身体的危害を受けるような状態にあり、当該児童生徒等の安全を確保する必要があるような場合には、学校安全の観点から本法の対象となること。

だから、少なくとも学校保健安全法が施行された2009年以降、学校での子どもどうしのいじめ等の「加害行為」については、その発生防止や安全確保についてどのような対応を学校設置者及び当該の学校がとったのか、法的には責任が問われてしかるべきかと。
なおかつ、この「加害行為」を文科省は不審者侵入や子どもどうしの関係で生じるものに限定していますが、その解釈を変更して「教職員から子どもへの加害行為」も含むとすれば、学校保健安全法上、子どもの安全確保や発生防止の措置をとることが学校設置者に求められることになりますよね。当然「体罰防止」に関する措置も、この観点から検討することが可能になるかと思います。

「いじめ防止法」などを新たに制定するよりも、「いままでの法令や行政指導の枠組みで、文科省や各地の教育行政は何をやってきたのか?」を総点検するほうが重要な気もするのですが・・・。
しかし誰もまだこんなこと、言ってないよね、教育学系も法学系も研究者の間で・・・??


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