まず、先日の知人たちの公開質問状の件が、毎日新聞の記事として出ました。もしかしたらすぐにリンクがきれるかもしれませんが、一応、紹介しておきます。
http://mainichi.jp/area/osaka/archive/news/2009/01/21/20090121ddlk27040375000c.html(障害者教育:「競争主義に強い懸念」 支援団体、知事に公開質問状 /大阪 毎日新聞 2009年1月21日 地方版)
それにしても、大阪府知事サイドは公人という立場とタレント弁護士出身という立場、この2つの立場をうまくつかって、連日、ニュース番組にバラエティ番組にと、テレビから徹底的に自らの情報を発信しています。もちろん新聞もまた、府庁記者クラブを通じて、府知事からの情報を発信しつづけています。
しかし、府知事サイドからマスメディアを使って流れる情報に対して、例えば今回の知人たちの団体のような立場から批判的な意見を述べるような情報については、なかなか、マスメディアを通じて発信されませんね。今回もおそらく、毎日新聞以外の新聞社やテレビ局などにも、知人たちの団体はいろいろ接触を持っていたはずですし、確か、記者会見もしたと聴いています。にもかかわらず、この状態です。
ですから、大阪府知事サイドから教育改革も含め、府政改革に関してマスメディアを通じて発信されている情報については、「それに対する異論や反論、批判などが、どこかに隠された状態にある」という前提で、常に批判的に読み解いていくくらいでちょうどいいのではないでしょうか。「テレビにでてくるおもろい人」に親しみを抱くのはかまわないのですが、その親しみにまどわされて、あとあと、とんでもないツケを自分たちが払わされないようにするためにも、そういう批判的なまなざしは失わないほうがいいでしょう。
と同時に、大阪のマスメディア関係者に言いたいのは、タレント弁護士時代の彼ならばいざ知らず、今や大阪府政に多大な権限を有する府知事に対して、何らかの形でマスメディアが監視や批判、チェックの目を向けなければ、単なる「広報機関」になりさがってしまうのだ、ということ。もはや彼は、タレント弁護士ではなく、政治家のひとりなのですから。
そして、アメリカの金融不安などに端を発する急激な景気悪化を前にして、今や、あの中央政界ですら、小泉政権やそれ以前からすすめられてきた新自由主義的構造改革路線の是非が問われ始めている状況です。また、定額給付金問題等々でゴタゴタしていますが、何らかの景気対策と社会保障を含む庶民生活へのセーフティーネットの充実をはからなければならないという機運も、中央政界レベルでは少しずつ高まってきているように思われます。そして、雇用不安の解消に向けての取り組みや、日雇い派遣問題に関する規制強化も、セーフティーネットの問題との関係で、議論の対象に挙がりつつあります。
にもかかわらず、こんな情勢のなかで、たとえば青少年社会教育施設に関する補助金予算を削減する等、子どもの教育や福祉といった領域でのセーフティーネットを縮小しようとしているのが、今の大阪府の行財政改革です。これでは、冷たい北風が吹き荒れ、猛吹雪が来ようとしているなかで、家から暖房をとりはずし、薄着にして人々を放り出そうとしているようなものです。そして、学力テストや体力テストなど、そもそも「なんのためにしているのか?」「この数字にどんな意味があるのか?」という次元から考え直す必要があるものの結果を使って、マスメディアを前に府知事は「なんだこのざまは!」と怒鳴りちらす。これだと、行政としてのセーフティーネットづくりの責任、つまり先のたとえを続けるなら、家の暖房などを充実させる責任を棚上げして、まるで「猛吹雪が来ても、お前らさえ体を鍛えていればいいんだ。それで風邪引くのは、お前らの自己責任だ」と言っているようなものです。
こういうことが続いていてもなお、マスメディアがあたかもタレント弁護士時代の彼と同じように、府知事としての彼をもちあげ、何の批判も疑問も提示することなく、ただその主張を流し続けているのが、私にはとても不思議でなりません。
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