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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

さすがにこの記事の配信は問題ありでは?(神戸市須磨区の小学校で起きた教職員間いじめ問題関連)

2019-10-07 23:49:07 | 受験・学校

あえて記事を添付しませんが、神戸市須磨区の小学校で起きた教職員間の「いじめ」関連の記事のうち、今日(10月7日)付けで神戸新聞社からネット配信された「20代教員に激辛カレー強要 第三者が動画撮影か」という記事については、「事実を伝えることは大事だとしても、やはりこういう記事の構成にして、ネットで配信するのはやり過ぎではないか?」と思いました。

ちなみに直接、新聞社にも、下記とほぼ同内容のことをこちらから伝えています。※印をつけていない段落が、新聞社に連絡したこと。※印の青字部分は「追記」です。

まず率直に、私としては文章で詳細にいじめの様子を綴るとともに、「このような記事を画像つきで配信すること自体が、被害にあわれた方を二次的、三次的に貶めているのではないか?」と感じました。

※それこそ、もしも小中学校や高校で、いじめの現場を誰か子どもがスマホか何かで撮影して、SNS上でアップしていたら…。学校や警察、保護者等々、おとなたちは「やめなさい」「削除しなさい」といって止めると思うのですが。なにしろ、ずっとネット上で残り続ける恐れがある画像ですからね。たとえ被害にあわれたご本人が「いい」といっても、やはり「ほんとうに、それでいいのか?」と私などは思ってしまいます。すでにSNS上ではこの画像つきの記事、相当に拡散されていると思うのですが…。

また、いま、何よりも危惧されるのは、このような記事が配信されてしまうことによって、この事件が人びとの負の感情を駆り立て、SNS上での「炎上」のネタ的に消費されてしまうことです。そのような事態を引き起こしてしまえば、誰にとってもより悪い方向に物事が動いてしまうのではないか。そういう危惧を私としては抱いてしまいました。

特に、このような記事が配信され続けますと、今後、この当該の学校の教育活動の再建や、被害にあった教員へのサポート、加害教員側への対応等々の各場面において、さまざまな負の影響が生じる恐れも十分、予想されるように思います。

※なにしろ私が見たところ…。SNS上では加害教員側に対するバッシングが相当湧き起っていて(ある意味、人々が抱く怒りの感情には「ごもっとも」という部分もあるのですが)、いまや「もっと加害教員の情報をさらせ」みたいな声もあがってきています。でも、昨日も書きましたが、この事件が起きたあともなお、当該の小学校に通う子どもや保護者もいるし、他の教職員もいるわけです。したがって、当該の学校に関係する人びと以上に、「外野」にいる人びとがSNS上などで怒りを抱き、義憤にかられて、少しずつでも落ち着いていこうとする当該の学校をより混乱させてしまう。そういうことが起きないようにしてほしいです。

このように考えますと、いまは事実を伝えるだけに徹して、画像なしで、なおかつ「いじめを撮影した動画がある」ことと「被害にあわれた方が刑事告訴を考えている」と、淡々と記述することもできたかと思います。

以上のような次第で、なぜ今回、このような記事を配信したのか、たいへん疑問に思います。今後はこの件に関して、もう少しトーンを落として、冷静に事実経過だけを淡々と伝えるようにしていただければと、私としては切に願うところです。ひとまず、このことを今回、お伝えしておきます。

※なお、もしも神戸新聞社以外の他紙でも同様に、画像付きでこの件の記事掲載が行われていたとしたら…。やはり、私はその他紙の報道のあり方にも疑問を抱きます。こういった件では、事実を隠さず伝えることは大事ですが、同時に、後々までひきずってしまうくらいの大きな禍いを残すような、そんな報道姿勢はとらないでほしいと願います。もう少し、淡々とした伝え方をしてほしいなぁと願うところです。


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