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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

昨日「大阪の子ども施策・教育施策」の動向について、ある研究会で話したこと

2016-05-03 23:17:36 | 受験・学校

昨日(5月2日)、大阪市内で開かれたある研究会で(公務員労組系のシンクタンクですが)、橋下市政・松井府政期の大阪の子ども施策・教育施策の動向について話をしてきました。その概要をまずは以下のとおり、まとめておきます。また、この研究会のなかで話したことも大事なんですが、そのあとの懇親会でお聞きしたことも大事なので、2回に分けてブログに書いておきます(なお、以下の内容の大部分は、今朝、フェイスブックに書き込んだこととほぼ同内容です)。

まず、研究会のほうでは、ちょうど子ども情報研究センターの『はらっぱ』2015年10月号に「大阪の子ども施策関連年表2006‐2015」なんてものを作って、載せていただいたんで、それを使いました。

その年表見るだけで、橋下・松井府政や橋下市政期に、どれだけ大阪府・市の子ども施策・教育施策がいろんなものをぶちこわしてきたかがわかるので。他にも、日本教育政策学会の課題研究プロジェクトの冊子に書いた原稿とか、まあ、いろいろコピーしてもらって使ったわけですが。

また、その「ぶちこわし」は条例制定や「財政再建プラン」等の行政計画の策定という形をとって進行しているので、たとえ首長が交代しても地方議会の構成が変わっても、その条例を改廃したり行政計画を作り直したりしない限り進行する、ということ。

特にその条例や行政計画の効果はつくってから数年後、現れるということ。その典型的なものが府立高校の「再編」つまり定員割れした高校から募集停止になっていく・・・というアレだ、ということ。

にもかかわらず、教育学系の研究は教育基本条例等々を「つくる」ときには熱心に「反対」等の意思表示をしたけど、「その後」どうなっているのかにはあまり目を向けていない、ということ。

そんななかで、最近、私を含む一部の研究者が大阪市内の学校にべったりはりついて、現状がどうなっているのか、把握しようとしていること。

さらに、こうした「ぶちこわし」的改革を支持する方向に人々を動員するために、人びとの「お客様」的あるいは「消費者主権」的な意識、ネット世論やSNSというツール、「劇場型」の政治が活用されている・・・ということ。

いわば「マーケティング」の手法が活用されているのではないかとか、あるいは役所の窓口対応や学校とのかかわりなどで不愉快な思いをした人々のうらみつらみ、さらには桜宮高校事件のような悲しい事件に「あえて火をつける」方法がとられているのではないか、とか。

そして、そうやって何もかもが「ぶちこわし」にあい、「廃墟」と化した地域社会や学校にも、たんぽぽの花くらいは咲いている、ということ。そういう小さな花の芽を見つけて、きっちり育てていく。

あるいは「廃墟」と化したところを更地にして、もう一度一から「戦後教育改革」をやるくらいの覚悟をもって、大阪の教育や子ども施策の「再建」に誰かが取り組まなきゃいけない。

そのためにも、我々研究者がもっと町のなかにでて住民と対話したり、現場でふみとどまって働いている教員と話をしたりしなくちゃいけない・・・ということ(私として、その町のなかに出ていくとりくみのひとつに「体罰をみんなで考えるネットワーク」や「発言する保護者ネットワークfrom大阪」とのかかわり、あるいは西成区内の中学校に出入りする活動がある)。まあ、そんなことを話しました。

長くなりそうなんで、いったんここでこの話は終わります。


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