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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「財政再建策」関連報道の検討という課題

2008-06-16 15:41:09 | ニュース

しばらくこのブログへの書き込みができないくらい、本業でも家庭内でも忙しく動いておりました。そうしたら、大阪府の財政再建案に異議申し立ての活動を続けているある方(複数)から、橋下知事の出した「大阪維新プログラム(案)」に対するパブリック・コメント募集が始まっていることを教えていただきました。ひとまず、下記のアドレスにアクセスすると、どういう要領でパブリック・コメントを受け付けているのかがわかるようです。みなさん、この際ですから積極的に意見表明をしてください。特に、この財政再建案で多大な影響を被る教育・子育て・生涯学習関連の取組みをされている方、よろしくお願いします。

http://www.pref.osaka.jp/kikaku/ishin/ishin_pc.html

それはさておき、気になったのは、先日の朝日新聞(大阪版)のこの記事。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200806140064.html

この記事を見ると、ある事業を実施するための国の補助金を受けるために、大阪府が負担せざるをえない部分、ここが今回、財政再建の「聖域」とされているとか。私の印象では、一連の大阪府の財政再建問題にまつわる報道のなかで、この話を朝日新聞が書いたのは、はじめてじゃないかな、と思います(まちがっていたら、ごめんなさい)。

この報道に書いていることがまちがいないとするならば、大阪府の財政再建について、たとえば国際児童文学館・府立青少年会館の廃止や教育・子育て・生涯学習関連の小さな事業の予算の削減、事業そのものの廃止などをする前に、こうした国と大阪府との財政上の関係の整理という課題があった、ということになります。

だとしたら、「マスメディアはなぜ今まで、こっちの方向からの大阪府の財政再建策の検討を伝えてこなかったのか?」という疑問がわきます。もしかしたら、財政再建策に関する大阪府側の報道発表をそのまま整理して新聞記事にしたり、テレビニュースにしたりするので手一杯で、それ以外の観点からの検討にまでゆとりがなかったのかもしれませんが。

あるいは、大阪府がそもそも、これまで財政再建に向けてのプランを報道発表する際に、こうした国と大阪府との財政上の関係について、どれだけ説明をしてきたのか。そこも、私としてはたいへん、気がかりです。これはうがった見方かもしれませんが、「もしかしたら、大阪府側がこうした問題を何らかの理由により意図的に伏せて、先に各種事業予算の削減、事業そのものの廃止、公共施設の整理といったことを優先的にマスメディアに向けて発表し、世論を誘導してきたのでは?」ということすら感じてしまいます。そのように考えると、マスメディアはこの間、大阪府側の世論誘導にうまく使われた、ということにもなりかねません。

そう考えると、この間の一連の大阪府の財政再建案の検討については、その再建案自体の妥当性を多様な観点から検討する必要があると同時に、「その再建案が大阪府側からどのように伝えられ、どのようにして世論が形成されてきたのか?」という意味で、メディア論的な観点からの検討も必要ではないか、と思われます。

今後の検討課題としてひとつ、このことを指摘しておきます。

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