角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

熟年離婚。

2012年01月19日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き〔五阡四百円〕
今日の草履も金と銀をふんだんに使ってみました。
数日前、ひとり旅の男性が草履を気に入ってくださった際、『金の草履はいかがです?』とお勧めすると、『いやぁ、僕に金は履きこなせないですよぉ』。
男性の滲み出る純朴さに好感を持ったものでした。

「熟年離婚」という言葉があります。何十年も連れ添った夫婦が何かをきっかけに、その後の余生をそれぞれに生きる選択をするんですね。その「何か」というのはいろいろあるんでしょうが、「定年退職」がひとつのきっかけになるようです。

65歳とおっしゃるおばさまが、ひとり旅を愉しんでおられました。草履実演をしみじみご覧になり、ご自分用をお買い上げです。おばさまのおしゃべり好きは、出会ってすぐに分かりました。私もおしゃべりは嫌いなほうではないのですが、おばさまの滞在時間は実に二時間。もちろん今年の最長記録です。

前半の話題は草履やら角館やら温泉でしたが、後半になってくると次第に「身の上話」と化してきました。詳しい内容は差し控えますが、それがつまり「熟年離婚」なんですね。離婚の申し入れは数年前、定年退職したばかりのご主人からでした。おばさまもこれまでのご自身を顧みて、これを受け入れたそうです。

でも結局、バラバラに暮らしたのは半年程度。ご主人はあっけらかんと舞い戻りました。現在もご主人側に負い目があるようで、それ以来おばさまがどこへ旅行をしようが、自由気ままな生活になったということです。

人様のご家庭を他人に分かるはずがないのですが、こちらのご主人はもしかすると「超純朴」な男性じゃないですかね。おばさまのご主人評は、「なんにも考えていない人」。子どもがそのまま大きくなったタイプかも知れませんね。

角館草履を手に持ったおばさまは、意気揚々と次の目的地へ出発されました。
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