角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

嬉しい後日談。

2009年09月12日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
青基調の桜&鹿プリントをベースに、合わせはブルー基調の茶道具プリントです。
青の同系色合わせ、比較的お若い男性向けかと思ってましたが、夕方近くおひとりでお越しのおじさまがお持ち帰りです。もちろん大歓迎でございますよっ。

「今日の草履」のようなスカッとした秋晴れが欲しいところですが、また今日も冷たい雨が降っています。雨を見ると記憶に新しいお祭り最終日を思い出して、なおさら気分が滅入りますよ。
朝から気温も低く、作務衣の下は長袖のトレーナーになってしまいました。散策のお客様も、『思ったより寒いんですねぇ』。地元民の私たちでさえ寒いです。

横浜市からお越しのおばさま三人旅、『この間は疲れてるところへ電話してごめんなさいねぇ』。
実はこちらのおばさまは角館草履のご愛用者で、プレゼント用の草履をお買い上げのため、お祭り明け10日に西宮家をお訪ねでした。米蔵スタッフにお祭り明けのお休みを聞いたおばさまは、わが家へお電話をくださったんですね。
旅は今日までで、『最終日に寄れたら寄りますぅ』とのことでお待ちしていました。念願叶ったおばさまも喜んでくださいましたが、期待を裏切らずに済んだ私もほっとしています。

今日は土曜日のせいもあってか、天候が不順のわりにはお客様の数が多い気がします。むしろ草履ご購入者はお祭り期間より多かったですよ(苦笑)。
そんな中の数人に『お祭り見せたかったですよぉ』と言うと、『あらっ、お祭りだったの!? でも人が多いんでしょ、あたしはゆっくりしたいものねぇ』。

こんなご返答が複数なんですね。「角館でゆっくりしたい」、これはむしろ草履職人も望むところですし、そうお考えの旅人がことのほか多いのが分かります。
しかも今年のお祭りはあの雷雨、「見せたかった」の言葉に偽りはないのですが、実際9日夜のギャラリーは相当苦労したでしょう。

毎年お祭りが終わってからの「後日談」というのがあります。今年ももちろんあるのですが、やはり聞かれる話題は雷雨とケガ人、そして商いの不調ですかね。中でもケガ人を出してしまった曳山若者会の話し合いを漏れ聞くに、とても笑顔で話せる内容ではありません。

そんな中、ひとつだけ嬉しい話を聞かされました。大仙市南外で野菜を商っている男性、たびたび西宮家がっこ蔵へ見える彼とは私も親しく話しをする間柄です。その男性が今日私に言うのは、『9日の夜に知人がお祭り見物に来たものなぁ。あの雨の中、ヤマの上で真剣に踊ってる女の子たちを観て、ほんとに感動したって言ってらっけよ』。

娘を踊り子として出している家庭では、どこの家でもお祭りが終わると労いの言葉があるでしょう。それはもちろん家庭ばかりでなく、ヤマの若衆であったり囃子方の人たちであったりするわけです。
そんなお祭り関係者ばかりでなく、あの雷雨の中を見物してくださったお客様の中にもそう思っていただけたんですね。その踊り子は、きっとわが家の娘たちではないと思います。でもそんなことは無関係、角館の踊り子のオヤジとして誇りに思えますよ。

雨中の踊りが「可哀想」ではなく「感動」だったってことは、それだけ堂々と胸を張ってご披露していたという証しですねっ。

コメント
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