角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

打てば響く。

2009年09月26日 | 実演日記


今日の草履は、樺草履26cm土踏まず付き〔六阡五百円〕
鉄媒染をベースに、合わせは銅媒染です。樺草履残り3足分のうち、予定通り26cmを編んでみました。現在樺草履の展示パネルには、23cm・24cm・26cmが各一足ずつ並んでいます。およそ三ヶ月ぶりの光景、在庫が増えて喜ぶ商売も珍しいでしょうか(苦笑)。

夕方近く、ひとりのおばさまが草履コーナーをお訪ねです。それほど前ではない、確かに以前お逢いしていることはすぐに分かりました。私が『あらっ!』と声を出すと、『今日は自分の分を買いに来ましたぁ』。
群馬県にお住まいのおばさまは、二ヶ月前の7月、娘さんおふたりを伴って西宮家を訪れた方です。そのときは娘さんおふたりにお気に入りを選ばせ、ご自身用はひとまず諦めたんですね。

それから二ヶ月、娘さんたちは当たり前のように草履生活が日常になり、おばさまも娘さんの草履を履いてみると、なるほどおふたりの気持ちが良く分かると言います。
私が、『この草履はまず自分が履くもんですよぉ。誰かにあげるのはその後にしないとっ』と笑うと、おばさまも『ほんと、そうねっ!』。

私は三ヶ月もの間完売の札が付けられたままだった、樺草履をおばさまへご紹介してみました。ちょうど「今日の草履」の布地が少し余っていたので、ほかの彩シリーズの布地と比較してもらったんです。その丈夫さはすぐにご理解いただけました。

『もちろん無理に勧めるんじゃないんですけど、この樺染め布地はあと少ししか残ってなくて、新たに2足も編めばそれで終了です。言ってみれば“幻の草履”ですねっ』。
私のこの言葉に、おばさまはすぐに反応してくださいました。22cmでオーダー決定です。

当地に墓所があることでたびたびお出でのおばさまですが、残り少ない樺草履を今日編んだことで、どうしても縁があったと思うわけです。それにしてもおばさまの反応はまさに「打てば響く」、お互い気持ちのイイものですよ。
お帰りには、『主人も息子も欲しいって言うんですけど、今日はあたしの分だけにしときますぅ』。はいっ、それでイイと思いますよっ。

夕方閉店間際にケータイメールが鳴りました。差出人は一昨日のブログにコメントをくれたナースマンくん。早速大曲のショッピングセンターへ出向き、稲葉尊治氏から「詩」を作ってもらったそうです。えらく感激した様子のメールでした。

こうしたことも「打てば響く」でしょうね。これがチャンスと思ったら、あるいは心が動いたら素早く動く、人生に笑顔を増やす意味ではかなり重要な部分じゃないですかね。

コメント (2)
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