角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ものごころついた頃から‥。

2006年08月30日 | 実演日記
今日の草履は、8月6日、大阪府吹田市からお越しくださった男の子のオーダー草履です。
『僕もパパと一緒!』がこちらになります。もちろんお父さん・お母さんの草履も一緒に、明日の便で出発です。遅くなって申し訳ありませんでした。

久しぶりに朝から雨の角館。ときおり止みながら、ときにスコール並みの降雨になりました。大曲の花火が終わって角館のお祭りまでのこの期間ですから、天気が悪ければなおのことお客様は少なめです。

西宮家のすぐ近くに、老舗の時計店があります。こちらに1歳半ほどの女の子がいて、ときにおじいちゃん、ときにおばあちゃんが散歩がてら西宮家へ連れてきます。これが毎日の日課なもんですから、女の子は私ともすっかり顔馴染みです。
最近特に言葉数を覚えて、『おはよー』『バイバイ』『ありゃりゃー』などを話すようになりました。その子がお祭りビデオを観て、『おいさっピッピッ、おいさっピッピッ』を連呼しています。そう、これは角館のお祭りの掛け声なんです。

角館の子どもたちは、幼い頃からこの掛け声でお祭りを認識するようになります。やがて男の子はヤマを作って遊ぶようになり、飾山囃子教室で笛や太鼓を習う子もいます。
そして女の子は手踊り教室、ピアノ教室や英会話教室と同等の認識です。わが家の三人娘も、それぞれ三歳から習いはじめました。

角館に生まれ育った者にとって、このお祭りがいかに深く根付いたものかがお分かりいただけると思います。県外に暮らす角館人が、お盆の墓参りには来なくともお祭りには帰るというのはもはや常識です。私の親類や知人にもいますが、私はその人たちのことを愛情を込めて「不届き者」と呼びます。

「角館のお祭り見物心得」その4

祭り二日目9月8日、曳山の仕事の三つ目は「薬師堂参拝」。
8月27日のブログでご紹介したように、角館のお祭りというのは角館神明社と成就院薬師堂の祭礼です。神明社祭礼は9月7日が宵宮で8日が本祭り、薬師堂の祭礼は9月8日が宵宮で9日が本祭りとされています。曳山の神明社参拝は9月7日限定ですが、薬師堂参拝は8日もしくは9日でも構いません。
いずれにしても、この二つの参拝は“必須”であり、任意の佐竹北家上覧や観光用激突とは一線を画す行事となります。

薬師堂を参拝する曳山を見たいお客様は、観光用激突が終わった時間帯に行ってみると、きっと数台の曳山は見られます。薬師堂側では深夜0時までの参拝をお受けしますから、遅い時刻のほうが確実でしょう。

ここまで初日7日と二日目8日の曳山の動きをご説明しましたが、角館のお祭りは夜暗くなってからが活発です。神明社に遠い丁内の曳山は、自丁内へ戻って曳山を納めるのが翌午前3時や4時にもなります。
また二日目薬師堂参拝では、対向して来た曳山との交差交渉がうまくいかないと、後ろに並んだ曳山もすべて巻き添えで時間だけが過ぎていきます。昨年のお祭りでは、翌午前6時に曳山を納めた丁内が複数ありました。
それでも9日の曳山出発は、どの丁内もほぼ午前10時です。角館のお祭りは、眠られないお祭りなんです。

次回は、これも重要な「自丁内回り」をご紹介します。

コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする