角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

夏休みの想い出。

2006年08月01日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23.0cm〔靴サイズ24cmまで可・・・3000円〕
お馴染みの唐草をベースに、エンジ基調のいらか模様を合わせた配色Ⅱパターンです。柄物合わせで少し賑やかかナとも思いましたが、どちらも落ち着いた色なので違和感はありませんでした。
この草履は、作り終えるまでご覧くださった秋田市の女性がお持ち帰りです。

こちらのお客様と伴にお越しの、神奈川県の女性。お土産を含めて2足お買い上げくださいましたが、ご自身がお持ちの反物を草履にしてみたいとのことでした。これまで生地持ち込みのお客様は三名ほどいましたが、すべて地元のお客様です。もしかしたら県外第一号になるかも知れません。

今日の角館、青空も見える天気なのですが、どうにも湿度の高さが嫌です。実演で使用している座布団を夏物に替えました。これでお尻も少しはスッキリ、もっと早く替えるべきでした。

世の中の学校が夏休みに入り、子どもを含むご家族連れの姿が多くなっています。実演ベンチにいち早く腰を下ろすのは、もちろん「子どもたち」です。
大阪市からお越しのご家族、お父さんにお母さん、幼稚園年長のお兄ちゃんと弟の四人旅です。
年長のお兄ちゃんが、例の通り実演ベンチから立とうとしません。その真剣な眼差しに、一番驚いたのはお父さんでした。『スゴい真剣やな~』と言いながら、わが子のビデオ撮影に懸命でした。

横浜市からお越しのご家族、おばあちゃんにお母さん、幼稚園年長のお兄ちゃんにまだ赤ちゃんの四人旅です。
ベビーカーを押したお母さんとおばあちゃんは、米蔵の商品を見るのに夢中です。ひとり行き場を求めていた年長のお兄ちゃん、私と目が合い軽く微笑むと、とたんに実演ベンチに走ってきました。おばあちゃんは遠目に気にしていましたが、私とお兄ちゃんがおしゃべりしている姿を見て安心したようです。

『イイこと教えてあげる、今お母さんたちがいる建物が「米蔵」といって、昔お米が四千俵もあったんだヨ。それからこの米蔵はね、もう80歳を過ぎてるんだ』。

目をキラキラ輝かせて話しに聞き入るお兄ちゃん。やがておばあちゃんから、『そろそろ行こうか』のお呼びがかかりました。
『イイ、今教えた話、おばあちゃんもお母さんも知らないはずだから、君が教えてあげるんだヨ』。
満面の笑顔でおばあちゃんの元へ駆け出すお兄ちゃん、早速今の話を教えていました。おばあちゃんとお母さんは、遠くにいる私に会釈してお帰りです。

遠い土地へ旅に来て、偶然出逢った草履を作るおじさん。2006年夏休みの、小さな想い出のひとつになってくれたでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする