角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

忘れえぬ「師」。

2008年10月03日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
赤と黒の網代プリントをベースに、紫のプリントとエンジの花柄を合わせた三色使いです。いろんな種類の布地が少しずつ残っていますから、これからもこうした多色使いを編んでみたいと思います。
「今日の草履」は、秋田市からお越しの女性がお持ち帰りです。

以前に少し触れた「中学卒業30周年同期会」の件は、正月開催にしては少し準備期間が短いことで、ひとまずお流れとなりそうです。この先同期会の予定として「満50歳・中学卒業35周年」があるわけですが、中学時代の恩師もあと五年くらいはみなさんお元気でしょう。

お祭り中日の八日、西宮家前で本番激突がはじまろうとしているとき、実演席には町外に暮らす同期生三人がいました。うちのひとりが近くに立っていた中学時代の恩師を見つけ、大声で先生の名前を敬称を略して呼んだんですね。私が彼に、『なんぼなんでも呼び捨てはねぇべ』と言うと、先生も太っ腹なもんです、『あれがら30年も経ったんだから、まぁ仕方ねぇべっ』。
いろいろ話をしましたが、ひとりだけ病気で他界された以外はみなさんお元気とのことでした。

今日実演席をお訪ねは、三人の女性を引き連れたさんさんサン。どなたをご案内して見えたかは、前から聞いていたのですぐに分かりました。詳しくはさんさんサンのブログに綴られています。

さんさんサンが千葉市に住んでいた時代、とてもお世話になった保育園の園長先生のことはかねてから聞いていました。私は今日はじめてお目にかかり、ついつい『お噂はかねがね聞いておりますっ』と言っちゃいました。そうしたことがつい言葉に出てしまうほど、園長先生にはその優しいお人柄が滲み出ていたんですね。

西宮家ご訪問の目的は、ブログにもある通り自身の「書」を先生に観てもらうことでしょう。さらにもうひとつの目的が、大事なお客様である三人の女性に草履をブレゼントして差し上げることでした。そうした心の贈り物に私の草履を選んでくれたさんさんサン、そして草履をとっても嬉しそうにお持ちになった「恩人」に、私も心からお礼を言いたいと思います。

私も人様に草履作りを教えるようになって、「師匠」とか「先生」などと呼んでくださる方がいます。そんな私が先の園長先生のように「忘れえぬ師」になれるかどうか、まずは日々の精進以外にありませんね。

コメント
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