角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

想い続けた二年間。

2008年10月27日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
深緑基調の矢羽根プリントをベースに、合わせは同系の緑です。緑好きにはたまらない一品のこちら、ブリント柄の「古風さ」がまたイイですね。平生地はこちらです。




「今日の草履」は、広島県から人事交流で秋田市へ来ているという、お若い女性がお買い上げくださいました。故郷に暮らすご家族へのプレゼントとのこと、喜んでくださるとイイですねっ。
こちらの女性、お若い中にも「古風さ」を感じました。実年齢や男女を問わず、ときにこうした雰囲気のお客様と出逢います。もしかしたらそういう方だからこそ、私の草履に立ち止まるのかも知れません。

ずいぶん久しぶりでしたが、103人目の草履職人誕生です。ひとりの女性が一目散に寄って見え、『憶えてますかぁ…、憶えてるわけないですよねぇ』。
聞いてみると女性は秋田市にお住まいで、今から二年前の西宮家で私と出逢い、草履作りを心に誓ったのだそうです。ただそれからの月日は公私共に多忙を極め、『すべてにおいて余裕というものがなかったんですぅ』。

人生にそういう時期ってありますよね。ゼッタイやりたいことがあっても環境がそれを許さない、とにかくそれに向かうには条件が悪すぎるっていうこと。
でも女性は二年経って環境が整った今、いよいよ目的に向かって一歩進もうとしているんでしょうね。女性は私の実演席を指して、『この二年間、ここを忘れたことはなかったんですよっ』。

ひとつのことを二年想い続ける、こちらの女性も見事な「古風さ」じゃないですかっ。草履台とイ草材料を大事に抱えた女性、きっと角館草履を編み上げるに違いありません。

コメント
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