今日の草履は、彩シリーズLグループ25cm土踏まず付き〔4500円〕
ヒョウ柄プリントをベースに、合わせは紺です。久々に帰ってきましたっていう感じですかね。もう一年以上も前になりますか、ずいぶんヒョウ柄には楽しませてもらいました。このたびは三足分ほどの復活となります。
平生地はこちらです。
私の実演風景を写真に収める方は、年間相当の人数に上ります。全国を旅歩く人の話では、草履を編む実演はかなり珍しいと聞きました。そのうえ「旅」は気分を高揚させますから、ちょっと気になる光景や風景はとりあえずカメラに収めたいと思うんでしょうね。
公開実演も四年になると、いろんなことが分かってきました。この「写真」についても、撮影に伺いを立てる多くは外国人なんですね。日本語が話せない人でも自身のカメラを指差しながら、『OK?』という仕草が珍しくありません。プライバシーを尊重する外国人らしいとも思うわけです。
日本人の場合、伺いを立ててくださる方ももちろんいますが、何も言わずシャッターを切る方も多いです。製作に没頭しているときは、フラッシュの明かりに驚くこともありますね。
ずいぶん前のブログでも触れましたが、私は自身の実演を「大道芸」のひとつと思っています。条件が合えば路上実演を行っていますし、それは西宮家の中にいても感覚的には変わりません。
天下の往来で「観せる」ことを目的とした大道芸であれば、それに撮影の許可が欲しいなんていうのはお門違いも甚だしいでしょう。ですから伺いのない写真撮影にも、憤りを感じることはほんとにないんですね。
でもこうして四年ほど経験していると、やはり一言伺いを立ててくださる方には敬意を持ちますし、私も気分良く応じることが出来ます。『顔を上げればイイですか?このまま草履を編んでればイイですか?』なんていう言葉も、伺いを立ててくださるから生まれるわけで、さらにそこからいろんなおしゃべりに繋がることも多いです。
角館に一大旋風を巻き起こしている「男鹿和雄展」も、いよいよ終盤に入りました。数日前には通算3万人を突破し、当初の見込み人数を大幅に超えていますね。
どこの開催でも終わりに近づけば近づくほど伸びる傾向があるそうなので、おそらく11月初頭の三連休はたいへんな混雑になるでしょう。
かねてからご紹介のように、「角館・町めぐりスタンプラリー」も大好評です。スタンプを求め、実演席の目前にあるスタンプコーナーへと続々集まって来ます。
一昨日のこと、お客様数人とおしゃべりしているところへ、小学校4、5年生と思しき少年がお母さんとふたりスタンプへ来ました。先にいたお客様がお帰りになってふと少年を見ると、なにやら恥ずかしげに私を見ているんですね。
『こんにちわっ』と声をかけると、お母さんが少年へ『ほらっ、自分でちゃんとお願いしてみなさい』。すると少年は、『写真を撮ってもイイですか?』。
写真を撮り終えた少年へ、私は言いました。『なんにも言わないで写真を撮って行くおとなが多いんだよ。それで怒ることはないんだけど、君のようにちゃんと挨拶が出来ることはとってもイイことだなっ』。
少年は笑顔の中にも気恥ずかしさか、少し顔が紅潮してましたね。
さらに感心したのはお帰り際のお母さんの言葉、『褒めていただいてありがとうございましたっ』。
少年が言った写真撮影の伺いも、そしてお母さんのこの言葉も、さらに私が少年へ言った言葉も、みんな“ないよりはあったほうが良い言葉”なんでしょうね。