今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黄色基調の葉っぱプリントをベースに、合わせは黄色基調のひまわりプリントです。季節的には現在と異なりますが、明るい爽やかさはいつのときでも気持ちイイですね。
今日大仙市大曲地区に、県南最大規模を誇るショッピングセンターがオープンしました。三日前からはじまっていたソフトオープンに出かけた知人は、『人が多過ぎてゆっくり見られねがったぁ』。
とき同じくして、古くから大曲中心部の活性に貢献した大型小売店舗が、その姿を消すことに決まりました。民事再生手続きも、あとを引き受ける企業が見つからなかったようです。
新聞等でも大きく報道されていますから名前を出しますが、大曲の「ヤマサ」と言えば角館人にも馴染みの深い店でした。中でも私たちのように大曲市内の高校へ通った人間は、幾度となく立ち寄った店です。「カネトク」「タカヤナギ」「ヤマサ」の三軒は、大曲市の商業施設で“御三家”と言えるでしょうね。
今年5月30日のブログで、私の草履を飾りたいと申し入れてくださったお店の話を紹介しましたが、実はそれが「ヤマサ」だったんです。熟慮の結果、ヤマサには私の草履十足ほどが展示されることになりました。わが家までお訪ねくださったバイヤーさんの笑顔が思い出されます。
今年のお祭り、ひとりの中年男性が実演ベンチに腰を下ろすと、『おやっ、この草履ヤマサで売ってねがっ?』。簡単に事情をご説明すると、『オレ、ヤマサで買ったったぁ。最初少し高いど思ったども、履いだばやっぱりイイものなぁ。あどで息子の分も買いに行ったば、もうねっけどっ』。
当初バイヤーさんから展示の申し入れがあったとき、実演が伴わないただの展示ではそんなに売れないであろうことを伝えていました。角館草履はその材料や編み進む工程を眺めることで理解が深まり、やがてお買い上げに繋がると思っているからなんです。
ですからこの話を男性から聞かされたときも、きっと展示場所を移動したかなんかで、完売したとは思えなかったんですね。
今日やはり大仙市大曲から五名ほどのおばさまがお越しでした。うちのおひとりが私の草履を見つけるなり、『あっ、この草履、あたし履いでるぅ』。
聞いてみるとおばさまは、『ヤマサで買ったったんシものぉ。あたしが履いでる草履どご見で、お盆に帰省した息子夫婦も買って帰ったんシよぉ』。
こちらのおばさまからこの話を聞いて、先の男性が勘違いではなかったことを確信しました。おそらく、いやきっとヤマサ店頭から角館草履は完売してくれたんでしょう。
未だ風邪が抜けきらない病み上がりの身に、今日の出来事は嬉しかったです。草履が売れたことの嬉しさとは少し違う、ヤマサに対して、バイヤーさんに対して最後の最後に少しは恩返しが出来たと思うんですね。
「無常の世」にあって、商売の世界もまた淘汰は致し方ありません。でも私の草履が完売したのは「ヤマサ」だったから、オープンしたばかりの大型ショッピングセンターでそれは叶わないでしょう。
地元資本の店が消えることは、なんとも悔しく残念でなりません。