角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ときに回り道も‥。

2007年02月04日 | 製作日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズLサイズ27cm〔3500円〕
深緑のプリント柄をベースに、緒はエンジにしてみました。シンプルなのがイイと思います。男性用に赤の鼻緒、今年もいっぱい作るつもりです。

横手市にある保育園の園長先生ご夫妻、三年ほど前に児童心理学の先生をお招きする講演会を企画され、わが家とはこの講演会がご縁で知り合いました。
今日、こちらの園長先生からお電話があり、昨日講演会にお招きした先生に草履をプレゼントしたいとのことです。今は自宅での作業ですから、わが家へお越しいただきました。

講演に招かれた千葉県からお越しの先生は、かつて中学生時代、ご自身で通学用の「ワラ草履」を作った経験がおありとのことです。私の草履をたいへん気に入ってくださり、奥様用と二足お持ちになりました。

雑談の中で、この草履を考案してから人生が変わった話をすると、千葉県の先生がニコっと微笑み、『ほらね、さっきの話の続きみたいでしょ』。実はこの言葉は、一緒に来ていた園長先生の次男に対して発したものです。
園長先生の次男は、中学時代に不登校でした。詳細は割愛しますが、このことでご両親である園長先生ご夫妻は、今も大きな反省のもとに日々の保育業務に専念されています。
「さっきの話」というのは、一見回り道をしたとも思えるこの若人に、『いつどんなところで「これ」と思えるものに巡り会うか分からない』というお話をしていらしたんですね。

千葉県の先生ご自身も、児童保育を志したのは40歳を過ぎてからだそうです。それから30年ほどでしょうか、今では全国を講演で歩かれるほど高い見識をお持ちの専門家になられています。ほんとに人生とは不思議なものですね。

現在、中二の双子のそれぞれのクラスメートに、不登校が数人います。よそ様の子どもになんの教えもできませんが、「今は焦るな」、これだけ言いたいですね。
ちょっと回り道した横手市の若人は、今春の大学受験に燃えています。『受験に失敗したら、いつでも草履作り教えるヨ』と言うと、『はいっ、そのときは宜しくお願いしますっ!』と元気に笑いました。

コメント (4)
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