ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

五郎丸の生涯

2012年10月12日 | 読みました
     
                淡路夢舞台温室・軌跡の星の植物館の花たち





唱歌の学校で、嬉しいことが在りました。新しいお仲間が1人増えるようなんで
すよ。アルトですけれどね。説明はありませんでしたが、何処かのクラスから
変わってこられるようなのですが…。減る一方のお仲間が増えると言うことは
嬉しいことです。



          五郎丸の生涯     三浦明博

著者・三浦明博さんは2002年に「亡兆のモノクローム」という作品で、江
戸川乱歩賞を受賞された方です。

秋田犬「五郎丸」の一生の物語です。

仙台市の西のはずれに住む一人暮らしの老人が、納屋で秋田犬が死んでいる
のを見つける。何故こんな所で?と不思議に思うが、ペット斎場でお骨にする。
老人は納屋で首吊り自殺するつもりだったのです。この「犬の死」の始末をする
ことによって、この老人の運命が変わる。生きていくことになる。

秋田犬の生きてきた道を遡っていく。

雑木林の中で娘が秋田犬を見つける。どうにかして、家で飼いたいと思う。父
親と二人雑木林に行く。娘の前に熊が現れる。あわや!という時、秋田犬が娘
と熊の間に入り、娘を助けてくれる。秋田犬を連れて自宅に帰る。「ゴロー」と
名づける。

ある日、ゴローは忽然と姿を消す。いなくなったのは3月9日、比較的大きな
地震があった日だった。


「里親急募! ・良く仕付けられたおとなしい犬です。短期間4~5ヶ月」という
張り紙を見た青年(新城)が動物病院から、秋田犬をマンションに連れ帰る。彼
の会社は所謂ブラック企業だった。彼の下に、新人社員(葛西)が付く。成績優
秀である。彼は秋田犬が来てから、自分の運命が好転したと彼女(葛西)に語る。
成績優秀の彼女には裏手口があり、そのために、まもなく会社を辞める。新城は
飼い続けたかったが、マンションでの飼育は無理と約束の日に病院に秋田犬を
返しに行く。


数日後、次の飼い主が見つかったかどうか、病院に行くと、秋田犬はすでに次
の飼い主が引き取っていた。その飼い主と言うのが、元部下の彼女(葛西)で
ある。彼女は青年が、病院に秋田犬を返しに行く話を聞いていたのである。彼
女は急性心筋梗塞で死ぬ。秋田犬は傍らで寄り添うように座っている。秋田犬
は大型犬を飼いたいという人にもらわれていく。


矢作夫婦と息子翔太の所に秋田犬はいた。動物管理センターからもらってきた
のである。しかし暫くすると東京に転勤の話が来る。秋田犬を誰かに譲ろうと
しても大きい為に飼おうという人が現れない、マンションでは飼えない。思い余っ
た夫婦は、息子には飼い主が見つかったといって、森に捨てに行く。秋田犬は
自分の運命を知ったが如く森の中に去っていく。


次郎(大学生)のじっちゃんが秋田犬の子犬をもらってくる。五郎丸と名づけら
れる。五郎丸が女の子に怪我をさせるという事件が起きる。そんなこんなのうち
にじっちゃんが入院することになり、その間預かってもらう人を捜すことになる。
その預かり人が青年(新城)である。


話は初めに戻り老人が、首をつろうとしたとき、地震が起こり、体が大きく揺
さぶられ、失敗に終わる。この地震で多くの人がなくなった。大地震と大津波
から1週間がたった日、老人は定義山に向かった。自殺しそこなった自分は生
きた、まだ死ぬべきでない若い人や子供や、もっと生きたいと思った人がなく
なった、死者の冥福を自分が祈らなくては成らないと思った。そして生きた。

そこで、納屋で死んでいた秋田犬とそっくりな子犬を見つけて連れて帰ってく
る。それを知った近所の人に「あそこの家(老人の家)は、犬に縁があるのか
しらね」ともと居た人が、秋田犬のブリーダーだった事を教わる。その人は足
腰が弱って働けなくなって、ブリーダーをやめて息子の家に引き取られていっ
た。最後に生まれた中で一番強そうなオス犬に一郎、二郎と名をつけ、最後の
犬を五郎丸(5代目)となずけた。

秋田犬五郎丸は自分が生まれた土地や、森や風の匂い、母犬と兄弟たちの匂
い、そんなかすかな手がかりを頼りに、あの家の納屋に、長い旅の時間を追
えて帰ってきたのだろうか。死に場所として。

老人は死んだ犬五郎丸に似た子犬に「ろく」(6代目)と名づけ、共に生きていく。
というお話。


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