あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

相澤中佐事件 ( 永田軍務局長刺殺事件 )

2023年02月06日 06時02分35秒 | 相澤中佐事件 ( 永田軍務局長刺殺事件 )

しばらくでした。いつこられたんですか。
二時間前に着いたばかりですよ
大蔵さん、さっき明治神宮にお参りしましたが、お月様が出ましてね
月がですか
ちょうど参拝し終わったとき、雲の切れ目からきれいな月がのぞいたんですよ
いつまで滞在の予定ですか
明日、お世話になった方々に転任の挨拶をしたいと思っています
それが終わり次第、な るべく早く赴任する予定です
じゃ、これでもう会えないかも知れませんね
時に大蔵さん、今日本で一番悪い奴はだれですか
永田鉄山ですよ
やっぱりそうでしょうなァ
台湾に行かれたら、生きのいいバナナをたくさん送って下さい
承知しました うんと送りますから、みなで食べて下さい
なるべく早く内地に帰るようにして下さい じゃ、これで失礼します
あなたの家に、深ゴムの靴が一足預けてありましたね
明日の朝早く、奥さんに持ってきて頂くよう頼んで下さい
そんな靴があったんですか
奥さんが知っています
承知しました
いい靴があるじゃありませんか
いや、あの深ゴムの方が足にピッタリ合って、しまりがいいんですよ
わかりました お休みなさい
・・・今日本で一番悪い奴はだれですか 

事件ノ前夜 (十一日)
私方ニ泊ツタ際、
相澤中佐ハ
「 東京ハ何ウデスカ 」
ト尋ネマスカラ、
「 別ニ變リハアリマセヌ 」
ト答ヘマシタ。
処ガ此一言ノ返事ガ、
相澤中佐ヲシテ永田少將ヲ殺サシメル
一ツノ動機トナツタ様デアリマス。
・・・西田税


相澤三郎 
( 永田軍務局長刺殺事件 )
相澤中佐事件

目次

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「 永田鐵山のことですか 」 
・ 「 時に大蔵さん、今日本で一番惡い奴はだれですか 」 
・ 
「 年寄りから、先ですよ 」 
 
・ 
昭和10年8月12日 ・ 相澤三郎中佐 1 
・ 
昭和10年8月12日 ・ 相澤三郎中佐 2 

・ 國體明徴と相澤中佐事件 
・ 永田軍務局長刺殺事件 
・ 
永田伏誅ノ眞相 

・ 軍務局長室 (1) 相澤三郎中佐 「 逆賊永田に天誅を加へて來ました 」 
・ 軍務局長室 (2) 山田長三郎大佐 「 軍事課長が來ないので、円卓の傍を通って軍事課長室に入る 」 
・ 軍務局長室 (3) 新見英夫大佐 「 抜刀を大上段に構へ局長と向ひ合っていた 」 
・ 軍務局長室 (4) 橋本群大佐 「 扉を一寸開けて局長室を覗くと、軍刀の閃きが見えた 」 
・ 軍務局長室 (5) 森田範正大佐 「 局長室で椅子を動かす様な音がした 」 
・ 軍務局長室 (6) 池田純久中佐 「 局長室が だいじ(大事) だ 」 
・ 
軍務局長室 (7) 軍属 金子伊八 「 片倉衷少佐が帽子を持って居りました 」 

 大御心 「 陸軍に如此珍事ありしは 誠に遺憾なり 」

・ 犯人は某中佐 
「 相澤さんが永田少将をやったよ 」
・ 
行動記 ・ 第一 「 ヨオシ俺が軍閥を倒してやる 」 
・ 佐々木二郎大尉の相澤中佐事件 

・ 相澤三郎中佐の追悼錄 

 
  相澤三郎 發 西田税

法務官訊問 『 被告人ガ入手シタ如何ナル物ガ殺害決意ニ刺戟ヲ与ヘタルカ 』 
・ 憲兵訊問調書 「 天誅を加へたり 」 

相澤中佐公判 ・ 西田税、澁川善助の戰略 
・ 満井佐吉中佐 ・ 特別弁護人に至る經緯 
 満井特別辯護人ノ證人申請 

・ 『 相澤中佐公判廷に於ける陳述要旨 』・・眞崎甚三郎大将

・ 第一回公判 ・ 満井佐吉中佐の爆弾發言 
・ 
新聞報道 ・ 第一回公判開廷 『至尊絶對』 
・ 新聞報道 ・ 第三回公判 『永田鐵山は惡魔の總司令部 』 
・ 所謂 神懸かり問答 「 大悟徹底の境地に達したのであります 」 

・ 澁川善助 「 笑ってはいけません。 安藤さん、あなたは禅を知らないからです 」
・ 本朝のこと寸毫も罪惡なし 
・ 昭和維新 ・相澤三郎 『絶對の境地』

相澤三郎 ・上告趣意書 1
・ 相澤三郎 ・上告趣意書 2
判決 『 被告人を死刑に處す 』 

「 ・・・・陸軍省における相澤中佐事件は、皇軍未曾有の不祥事であります。
本事件を單に殺人暴行という角度から見るのは、皮相の讒そしりをまぬかれません。
日本國民の使命に忠実に、ことに軍教育を受けた者のここに到達した事件でありまして、
遠く建國以來の歴史に、關聯を有する問題といわなければなりません。
したがつて、統帥の本義をはじめとして、
政治、經濟、民族の發展に關する根本問題にも触れるものがありまして、
實にその深刻にして眞摯なること、裁判史上空前の重大事件と申すべきであります・・・(下略) 」
・・・ 
注目すべき鵜沢博士の所論