あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

『 昭和維新の春の空 』 青年将校達の正義は通らなかった

2024年02月29日 17時06分31秒 | 道程 ( みちのり )

陛下
なぜもつと民を御らんになりませんか、
日本國民の九割は貧苦にしなびて、おこる元氣もないのでありますぞ
陛下がどうしても菱海の申し條を御ききとどけ下さらねばいたし方御座いません、
菱海は再び、陛下側近の賊を討つまでであります、
今度こそは
宮中にしのび込んででも、
陛下の大御前ででも、
きつと側近の奸を討ちとります
恐らく 陛下は 
陛下の御前を血に染める程の事をせねば、
御氣付き遊ばさぬでありませう、
悲しい事でありますが、 
陛下の爲、
皇祖皇宗の爲、
仕方ありません、
菱海は必ずやりますぞ
惡臣どもの上奏した事をそのまゝうけ入れ遊ばして、
忠義の赤子を銃殺なされました所の 陛下は、不明であられると云ふことはまぬかれません、
此の如き不明を御重ね遊ばすと、神々の御いかりにふれますぞ、
如何に 陛下でも、神の道を御ふみちがへ遊ばすと、御皇運の涯てる事も御座ります
統帥權を干犯した程の大それた國賊どもを御近づけ遊ばすものでありますから、
二月事件が起こったのでありますぞ、
佐郷屋、相澤が決死挺身して國體を守り、統帥權を守ったのでありますのに、
かんじんかなめの 陛下がよくよくその事情を御きわめ遊ばさないで、
何時迄も國賊の云ひなりなつて御座られますから、
日本がよく治まらないで常にガタガタして、
そこここで特權階級をつけねらつてゐるのでありますぞ
・・・磯部淺一  獄中日記 (三) 八月十二日 「 先月十二日は日本の悲劇であつた 」

昭和維新の春の空 正義に結ぶ益荒男が
胸裡百万兵足りて 散るや万朶の桜花

「 昭和維新の歌 」 を 高唱しながら 
三宅坂方面に向い行進する安藤隊

陛下の大御心に
我々は尊皇軍であることが解るまで頑張るのだ。
昭和聖代の陛下を
後世の物笑いにしない歴史を作るために断乎闘わねばならない。
・・・安藤輝三

『 昭和維新の春の空 』
年将校達の正義は通らなかった
目次
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二 ・ 二六事件前夜 二月二十三日 西田税 『 今まではとめてきたけれど今度はとめられない、黙認する 』
二 ・ 二六事件前夜 二月二十四日 村中孝次 『 蹶起趣意書 』 を起草
二 ・ 二六事件前夜 二月二十五日 林八郎 『 おい、今晩だぞ。明朝未明にやる 』
二 ・ 二六事件蹶起 二月二十六日 磯部淺一 『 勇躍する、歓喜する、感慨たとへんにものなしだ 』
二 ・ 二六事件蹶起 二月二十六日 大臣告示 『 諸子ノ行動ハ國體顯現の至情ニ基クモノト認ム 』
二 ・ 二六事件蹶起 二月二十七日 北一輝 『 國家人無シ 勇將眞崎アリ、正義軍速ヤカニ一任セヨ 』 
二 ・ 二六事件蹶起 二月二十八日 澁川善助 『 全国の農民が、可哀想ではないんですか 』
二 ・ 二六事件蹶起 二月二十九日 安藤輝三 『 農村もとうとう救えなかった 』

・ 大御心 「 朕が憾みとするところなり 」 

・ 二・二六事件の収拾処置は自分が命令した 

天皇陛下は嘉し給わなかった
陛下の嘉し給わぬ行動は天人共に許さぬ行動であろうか
若し我々が天下の義に背いた行動をしたのであれば、
直ちに死するべきである
天皇陛下の為に国を憂えて身命を擲ったこの行動が、
陛下の逆鱗に触れ、そして逆徒になる
こんな馬鹿げたことがあろうか
我々は軍に入り陛下の大命により戦場に生命を捧げることを身上とした者である
しかも自ら進んで天下大義の為に立ったのだ
それにも拘わらずその義軍が叛徒として葬り去られたのだ
こんな悲しみがあろうか
天を仰いで長大息しても、この恨みは尽きるものではない
これは神に対する絶望であろうか  身震いするような恐怖であった
我々が蹶起した昭和維新の大義がこの世に存在の価値がないとすれば、
今日迄我々の生きてきた支えは壊滅してしまうのだ
・・・池田俊彦  大御心は一視同仁 
・・・大蔵栄一  身を挺した一挙は必ずや天皇様に御嘉納いただける  

私は今、
陛下を御叱り申上げるところ迄、精神が高まりました、
だから毎日朝から晩迄、 陛下を御叱り申して居ります
天皇陛下
何と云ふ御失政でありますか、
何と云ふザマです、
皇祖皇宗に御あやまりなされませ

・・・磯部淺一 獄中日記 (五) 八月廿八日 「 天皇陛下何と云ふザマです 」

こんな苦勞の多い
正義の通らん人生はいやだわい。
 
・・・西田税


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