緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

金属の魅力-真鍮(2)-

2020-12-09 21:09:43 | 金属
昨日在宅勤務だったのだが、朝トイレに入ってみると、朝日を浴びてほのかではあるが、淡く美しく輝くものが目に入った。



目に入ったのは写真の緑色の粉のようなものだ。
写真では暗く写ってしまっているが、私が見た時は黄色っぽい太陽の光を浴びてとても美しい緑色になっていた。
この緑色の粉は一体何であろうか。
これは金属である銅が酸化して出来る「緑青(りょくしょう)」と呼ばれる錆びである。
でも写真に写っているもの、これはトイレのタンクに水を補給する金具なのであるが、どうみても銅には見えない。
外見では鉄にメッキをしたものか、ステンレスに見える。
しかし鉄やステンレスに発生する錆びは赤錆であり、緑青が付くわけがない。
であればこの金具の素材は鉄やステンレスではなく、銅を含有する金属の可能性が高い。表面は銀色のメッキ加工が施こされている
ではこの金属の素材は何か。
これは恐らく真鍮ではないかと思う。
真鍮にクロームメッキをしたものであろう。
何故、そう思ったかというと、以前、公衆の洗面所などで使われている水道の蛇口の金属の表面が、銀色が剥げ落ち、黄銅色となっているのを何度か見たことがあるからだ。
例えば下のような状態だ。



真鍮は銅と亜鉛の合金で、加工性に優れ(機械加工しやすい)、耐久性がありメッキしやすいので、水回りの金具やドアノブなどによく使われている。黄銅とも言われており、身近なものでは5円玉がある。
私は金属の中では真鍮は一番好きな部類である。
金のような輝きがないところが好きだ。何となくくすんでいるが、暖かみ、親しみやすさを感じる。
写真のトイレタンク用の金具に緑青が付いたのは、メッキ前の素材が真鍮で銅を含んでいるからであろう。
しかしメッキを施しているのに何故、緑青が発生したのか。
これは不思議だ。
メッキは剥げていないし、傷も付いていないようだ。
以前、「鉄は錆びたがっている」ということを記事に書いたが、真鍮も錆びたがっていたのだろうか。
メッキで覆われていても、恐らく真鍮の中の銅がメッキ層の極めてわずかな隙間も見逃さず、その隙間から酸素(水)を吸い寄せたとしか考えられない。

緑青が発生した理由は結局分からないが、この緑青の色は美しいと思う。
エメラルドグリーンに近いが、もう少し落ち着いた感じか。
因みにこの緑青は昭和の時代まで長い間、有毒だと言われていたが、実際は無害、無毒だそうだ。
驚くことに、この緑青、顔料の原料にもなっているという。
やはりこの美しい自然の色を、「錆び」という悪者にしておくのは勿体ないと考えた人がいたようだ。
この緑青を取ってしまうのは勿体ない。
トイレタンク用金具についた緑青はそのままにしておこう。

家の中で真鍮のものを探してみたが、意外に少ない。
下の写真は勤め先の工場の現場の廃材置き場から拾ってきたもの。
「埋込座」と呼ばれる金属加工部品だ。





底面にタップが切ってある。頭部の球体がすっぽ抜け防止の役割をしている。

下の写真も現場で拾ってきたもの。





切り欠きがある変わった形状だ。
これも底面にタップが切ってあった。

次にこれは歯磨き用として愛用している銅製コップの取っ手。真鍮製だ。



銅は熱をすぐに伝えるので、熱い飲み物をこのコップで飲むと唇をやけどしてしまう。
取っ手は真鍮なので熱くはならないに違いない。
コップ本体は長年の使用で、夥しい範囲に渡って銅が腐食しているが、渋く、いいあんばいになってきている。



セーム皮で磨いてみた。



エビ茶色の独特のいい色合いだと思う

あとはめずらしい、真鍮製の六角ボルトがあったはずだが、どこへしまいこんだか見当たらなかった。



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