数日前、どういうきっかけか分からないが、フェルナンド・ソルの「もしも私が羊歯だったなら」による変奏曲op.26を聴きたくなった。
この曲はソルの中でもあまり演奏される機会はない。
録音も極めて少ない。
しかしこの曲、とてもいい曲なのだ。
私はソルの曲の中では練習曲op6-11とop29-1と共に、この「もしも私が羊歯だったなら」による変奏曲op.26が最も好きだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/c3/ba3eb7a8bbbde12f1ab59b29c7cfa0eb.jpg)
この曲を初めて聴いたのはスペインギター音楽コンクールの本選であった。
課題曲としてこの曲が選出されていた。15年くらい前だったか。
このコンクールで聴いたときのことはよく覚えている。
地味な曲に思えたが、とても心に響いてきた。
とくに次の部分が印象に残った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/de/26f03d231e94e4b083f8c66cc33dbfab.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/a6/7d4bab2e62941e085cb4b48fa6bce087.jpg)
この部分は何度聴いても感動する。
元々この曲はフランスの愛唱歌謡をテーマにソルが変奏曲形式で作曲したもので、旋律はソルのオリジナルではない。
しかし旋律とギターという楽器の和声との組み合わせが巧みで、そこにこの曲の魅力が出ている。
構成は、序奏、主題、4つの変奏からなるが、華やかさは一切無い。
短く、簡素で、地味であるが、完璧な構成だと思う。
ソルの変奏曲には、有名な「魔笛の主題による変奏曲」や「マルボローは戦場に行ったによる変奏曲」など、華やかで装飾に満ちたものがあり、これらの曲はとても人気があるのだが、「もしも私が羊歯だったなら」にはこれらの曲には無い、素朴な美しさ、しみじみとした情感がある。
私は「もしも私が羊歯だったなら」の方こそが、ソルの本領が発揮されたものなのではないかと思う。
「もしも私が羊歯だったなら」op.26についての情報は少ない。
Youtubeにもあまり投稿されていない。
曲については、現代ギター臨時増刊「名曲演奏の手引き PATRTⅡ」に詳しい解説がある。
「~テーマに選ばれたのは18世紀フランスのポピュラーな歌謡である。ただし、いわゆる民謡というのではなく、当時のパリの市民が口ずさんだ、軽い抒情の歌らしい。美しい旋律なので、あの<ニーナの氏>などと同様、夭折したジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージの作といわれたこともあるが、どうやら作りごとのようだ。」(浜田滋郎)
この後にその詩が紹介されているが、ここではあえて転載しない。
この詩の内容にこの曲の解釈を求めても意味が無い。
詩の内容がどうあれ、ソルは祖国を捨てフランスで生きている中で、この歌に何か特別に感じるものがあったのかもしれない。
この曲を録音したギタリストは数えるほどしかいないであろうが、何と言っても西村洋氏の演奏が素晴らしい。
「西村洋 ギターの芸術」という、ソルの曲だけを集めたアルバムで聴けるが、残念ながら廃盤、Youtubeにも投稿されていない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/a6/350bec9d23315da5e056593e7d0f8e82.jpg)
この演奏は凄い。
初めて聴いた時、鳥肌が立った。
恐らくこれ以上の演奏は無いであろう。
先のフレーズや、次の部分などは音が心に喰いこんでくる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/6a/889c39de82f6275d39a930aa056fe9a5.jpg)
この演奏を聴いたら、昨今氾濫している、タッチの薄っぺらい、感情的パワーに欠けた、上手いけど何も心に響いてこない演奏とのあまりにも大きな落差を感じるに違いない。
でも今はそういう演奏スタイルの方がもてはやされている。。
このアルバムで最も聴き応えがあったのがこの曲だ。
西村洋氏もこの曲に対し、きっと強い思い入れがあったに違いない。
西村洋氏の演奏には及ばないが、数少ないYoutubeの演奏の中でいいと思った録音を貼り付けた。
Fernando Sor Op 26 Variations on "Que ne suis-je la fougere"
この演奏は粗い所があるが、タッチの使い方には学ぶべきものがある。
下はフルートとハープやピアノとの重奏。
この曲の旋律の素朴な美しさがより感じられる。
Que ne suis-je la fougère (Les tendres souhaits) Transc. : Bernard Dewagtere
Que ne suis-je la fougère
この曲はソルの中でもあまり演奏される機会はない。
録音も極めて少ない。
しかしこの曲、とてもいい曲なのだ。
私はソルの曲の中では練習曲op6-11とop29-1と共に、この「もしも私が羊歯だったなら」による変奏曲op.26が最も好きだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/c3/ba3eb7a8bbbde12f1ab59b29c7cfa0eb.jpg)
この曲を初めて聴いたのはスペインギター音楽コンクールの本選であった。
課題曲としてこの曲が選出されていた。15年くらい前だったか。
このコンクールで聴いたときのことはよく覚えている。
地味な曲に思えたが、とても心に響いてきた。
とくに次の部分が印象に残った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/de/26f03d231e94e4b083f8c66cc33dbfab.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/a6/7d4bab2e62941e085cb4b48fa6bce087.jpg)
この部分は何度聴いても感動する。
元々この曲はフランスの愛唱歌謡をテーマにソルが変奏曲形式で作曲したもので、旋律はソルのオリジナルではない。
しかし旋律とギターという楽器の和声との組み合わせが巧みで、そこにこの曲の魅力が出ている。
構成は、序奏、主題、4つの変奏からなるが、華やかさは一切無い。
短く、簡素で、地味であるが、完璧な構成だと思う。
ソルの変奏曲には、有名な「魔笛の主題による変奏曲」や「マルボローは戦場に行ったによる変奏曲」など、華やかで装飾に満ちたものがあり、これらの曲はとても人気があるのだが、「もしも私が羊歯だったなら」にはこれらの曲には無い、素朴な美しさ、しみじみとした情感がある。
私は「もしも私が羊歯だったなら」の方こそが、ソルの本領が発揮されたものなのではないかと思う。
「もしも私が羊歯だったなら」op.26についての情報は少ない。
Youtubeにもあまり投稿されていない。
曲については、現代ギター臨時増刊「名曲演奏の手引き PATRTⅡ」に詳しい解説がある。
「~テーマに選ばれたのは18世紀フランスのポピュラーな歌謡である。ただし、いわゆる民謡というのではなく、当時のパリの市民が口ずさんだ、軽い抒情の歌らしい。美しい旋律なので、あの<ニーナの氏>などと同様、夭折したジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージの作といわれたこともあるが、どうやら作りごとのようだ。」(浜田滋郎)
この後にその詩が紹介されているが、ここではあえて転載しない。
この詩の内容にこの曲の解釈を求めても意味が無い。
詩の内容がどうあれ、ソルは祖国を捨てフランスで生きている中で、この歌に何か特別に感じるものがあったのかもしれない。
この曲を録音したギタリストは数えるほどしかいないであろうが、何と言っても西村洋氏の演奏が素晴らしい。
「西村洋 ギターの芸術」という、ソルの曲だけを集めたアルバムで聴けるが、残念ながら廃盤、Youtubeにも投稿されていない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/a6/350bec9d23315da5e056593e7d0f8e82.jpg)
この演奏は凄い。
初めて聴いた時、鳥肌が立った。
恐らくこれ以上の演奏は無いであろう。
先のフレーズや、次の部分などは音が心に喰いこんでくる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/6a/889c39de82f6275d39a930aa056fe9a5.jpg)
この演奏を聴いたら、昨今氾濫している、タッチの薄っぺらい、感情的パワーに欠けた、上手いけど何も心に響いてこない演奏とのあまりにも大きな落差を感じるに違いない。
でも今はそういう演奏スタイルの方がもてはやされている。。
このアルバムで最も聴き応えがあったのがこの曲だ。
西村洋氏もこの曲に対し、きっと強い思い入れがあったに違いない。
西村洋氏の演奏には及ばないが、数少ないYoutubeの演奏の中でいいと思った録音を貼り付けた。
Fernando Sor Op 26 Variations on "Que ne suis-je la fougere"
この演奏は粗い所があるが、タッチの使い方には学ぶべきものがある。
下はフルートとハープやピアノとの重奏。
この曲の旋律の素朴な美しさがより感じられる。
Que ne suis-je la fougère (Les tendres souhaits) Transc. : Bernard Dewagtere
Que ne suis-je la fougère
調べてみましたが、山下さんの初期のレコードですね。アルバムの第1曲目にこの曲を持ってきているということは、山下さんもこの曲が気に入っていたのではないかと思います。
録音が少ないのが意外ですが、とてもいい曲です。
ソルの曲の中では私の好きな上位に入る曲です。
おっしゃるようにパリコンの課題曲だったようです。
現代ギター臨時増刊「名曲演奏の手びき PARTⅡ」のこの曲の解説に書いてありました。
山下さんがソルの全集を出したのが1980年代終わりだったと記憶しております。
山下さんはテーマを決めてステージや録音で意欲的な活動をされていましたね。
この「もしも私が羊歯だったなら」は変奏曲ですが、シンプルで短くまとめているところが好きだし、これが逆に素晴らしいと思います。
ソルは曲の構成を構築する能力がもの凄く高いと思います。
「もしも私が羊歯だったら」による変奏曲はもっと弾かれてもいいと思うほどの曲ですね。
派手さはありませんが、しみじみとした情感が感じられるギターの名曲だと思います。
ソルの練習曲Op6-11、Op29-1はソルのオリジナルですがこちらも短く素朴な曲でありながらも、完成度の高い素晴らしい曲です。両方ともイエペスの演奏が最高だと感じております。
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