緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

2014年(第57回)東京国際ギターコンクールを聴く(続き)

2014-12-13 00:21:54 | ギター
異なる職場の数人との飲み会に行った。普段は車通勤なので所属する職場の忘年会などでしか飲みに行かない。しかしこういう飲み会は疲れる。やはりリラックスできる人たち数人でたまに飲むのがいい。
先週開催された東京国際ギターコンクールを聴いた感想の続きを書くことにする。
1週間経過し記憶も薄れてきたが、当日のメモをもとに感じたことを述べさせていただく。
課題曲は伊福部昭作曲「箜篌歌」。
コンクールの課題曲に対する評価のウェイトはどの程度なのであろう。もし50%だとしたら順位は相当変わっていたかもしれない。
アルペジオが始まる”Allegetto elegantemente, non tanto esagerato il canto”の速度指定は♩≒84であり、思ったよりも速目の速度である。
奏者の中にはこのアルペジオのメロディーラインをかなり強調し、メロディを奏でる弦以外の音は軽く流すような演奏をしていたが、メロディを浮かび上がらせるにしても他の音も一音一音毎に存在感のある芯のある音で奏でて欲しかった。
この曲の場合、この「他の音」は伴奏ではない。
芯の無い、平べったい大きな音でメロディラインを強調し過ぎると、テンポも速いこともあり行進曲のように聴こえてしまう。海外の奏者にこのような傾向があったように思う。
また数小節を飛ばしたり、音符を間違えて記憶して弾いている奏者がいたが、課題曲の場合、審査員はかなりシビアに譜面を見ているので注意すべきだ。
2位の奏者が、自由曲が素晴らしい演奏だったのにもかかわらず1位になれなかったのは、このような課題曲の弾き方があったため、減点されたのだと思われる。
また前回のブログで述べたが、終わり近くの”Piu Mosso”から、それまでのテンポよりも、より速く弾かなければならないのだが、この速度の差が殆ど感じられない、または後で徐々に速く弾くような演奏が多かった。
ここを境にテンポを速めると共に、より感情を込め、ffで強い感情のピークを表現し、徐々に音量を下げていくのであるが、このffの部分の盛り上がりが今一つ伝わってこなかった。
私としては、順位は低かったが、課題曲の演奏で5位の斎藤優貴さんの演奏が、音に力があり、芯があり、オーソドックスな表現でありながらこの曲の持つ感情を素直に表現していると感じた。先に述べた”Piu Mosso”からの速度も指定通りの変化を付けた完成度の高い演奏であった。

自由曲の演奏で印象に残ったのは、第4位の方のタランテラ、第2位の方のスカルラッティのソナタ、同じくロドリーゴのトッカータであった。
スカルラッティのソナタは原曲は鍵盤楽器の曲であるのでギターで弾くのは難しいのであろうが、とても柔らかい指使いで、巧みに弾いていた。ギターの場合、装飾音が濁ったり、変に浮き出てしまいがちであるが、流れるように自然に弾いているのが印象的であった。

今回のコンクールでは、音量が大きくインパクトが強い楽器を使用したことで、評価につながったように思う。
ただこのような音量重視の楽器は、1回聴いたときのインパクトは強いが、何度も聴いているとうるさく感じることがある。コンクールでは音量は評価にとって非常に大きな要素であるが、音質面での評価も期待したい。第4位の方の高音はかなり魅力を感じる音であった。
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2 コメント

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Unknown (Tommy)
2014-12-13 21:00:38
詳しい解説をしていただきありがとうございます。
長年のご経験でしょうが、私から見るとずーっと先の話でありますが演奏の聴き方等勉強させていただいています。
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Unknown (緑陽)
2014-12-14 00:30:59
Tommyさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
コンクールを聴くのは疲れますし、必ずしも期待したとおりの結果にならず、後味のわるい終わり方になることもありますが、いろいろ勉強になることが多く、毎年聴きに行っています。
コンクール入賞者がプロとなって、世界的な音楽家になってくれるといいですね。
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