緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ジョン・ケージ In a Landscape を聴く

2014-11-15 23:25:34 | ピアノ
だいぶ寒くなってきた。秋の虫の鳴く声も消え入りそうに小さく弱々しくなった。もうすぐ冬の到来である。
現代音楽作曲家で有名なジョン・ケージ(1912-1992)のピアノ曲を聴いてみた。



彼の曲は数年前に高橋悠冶が弾くプリペイド・ピアノ(Prepared Piano)で聴いていたが、今回聴いたのは意外な作風の曲であった。
題名は”In a Landscape”「ある風景の中で」。
ジョン・ケージにしては珍しく穏やかで静かな曲だ。聴いていて強い感情を起こさせるような曲ではないが、何か不思議な気持ちにさせてくれる。
淡いオレンジ色の霧のかかった広い牧場にいるように感じる。あるいは天国へ通ずる長い小道を過去を回想しながら歩く時に、聴こえてくる音楽であろうか。心を落ち着かせる作用があるようだ。
1990年代に坂本龍一が作曲して有名になった曲を思い出したが、ジョン・ケージがこの曲を作曲したのは1948年である。とてもこの時代にあるような音楽に思えない。
作曲家の原博によって徹底的に批判されたジョン・ケージであるが、ジョン・ケージの音楽は聴きにくい難解な曲も多いが、例えば”Ad Lib”(1942年作曲)のようなユーモアに富んだ面白い曲もある。
私にはこの作曲家の感性の豊かさが感じられる。
”In a Landscape”と同じような作風の曲に”Dream”(1948年作曲)がある。
両曲ともYoutubeで聴くことができる。”In a Landscape”は再生回数が50万回を超え、”Dream”は100万回を超えていることからも、この曲の人気の多さがうかがえる。



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4 コメント

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Unknown (Tommy)
2014-11-16 10:21:40
今回も心落ち着く曲、私にはすべて初めてです、をご紹介いただきありがとうございます。今はただ聴くだけですが音楽の素晴らしさに酔っています。

下記は井内様から頂いたメールです。批評に大変満足されているようです。ご参考までに。

ご丁寧なお知らせを頂き有難うございます。
弦楽器フェアー楽しんでいただけましたでしょうか。
場所がら十分な事は出来ませんでしたが少しでもギターを楽しむ
お役に立てれと喜んでいます。
今回好評を頂いたブログを紹介して頂きましたがこの方の私のギターに対する分析は
まさしく私自身も納得する的確なものです。
この様にかなりのキャリアでギターを理解されている方に評価して頂ける事は出展者としてとてもうれしい事ですし励みにもなります。
Tommy様もギターを楽しみながら練習して頂きこれからの息の長い友人にして下さい。
私は来年の展示も予定していますのでまた会場でお会い出来る事を楽しみにしていますので
もしよろしければご住所等を教えて頂ければ招待券を送らせて頂きたいと思いますので
ご遠慮なしにお申し付け下さいお待ちしています。

井内耕二
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Unknown (緑陽)
2014-11-16 21:16:00
Tommyさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ブログで紹介したジョン・ケージの曲、気に入っていただき、とても嬉しく思います。
製作家の井内さんから直接メールをいただいたのですね。
製作家と直接コンタクトを取れることは、そうあるものではありません。貴重な体験です。よかったですね。
Tommyさんの音楽ライフに微力でもお役に立てられるよう、今後もいい曲がありましたら紹介したいと思っております。
返信する
Unknown (Happy Wedding)
2016-08-25 23:04:53
緑陽さま

こんばんは。今日、人から紹介されてジョン・ケージのIn a landscapeを初めて聴き、インターネットで調べておりましたら、緑陽さまのブログが出てきて驚きました。2年も前にこの曲をお聴きになっていたのですね!同じ曲にそれぞれ感じるものがあったことに、不思議な縁を感じます。

さて、緑陽さまが「天国へ通ずる長い小道を過去を回想しながら歩く」と表現していらっしゃいましたように、私も同様に、一種の永遠性を感じます。私は、作曲された年代に注目しました。この曲は1948年に作曲されており、第二次世界大戦が終結したのが1945年。戦争に勝った国にも負けた国にも、平等に、人の心から失われたものはあるのだなと思いました。神さまから全人類への問いかけといいますか、この戦争による代償として、心のパレットから失われた色彩が人類にはあるように感じます。我々は目に見えずして、戦後の世代を生きる者として、先代の犯した過ちの十字架を背負っている。日本人は精神性を尊ぶ民族ですから、戦後当時の虚無感を、現代人でも割と現実的に感知できるのかもしれません。戦後71年。世の中の向かって行く先を、日本と全世界の在り方を、過去と今の平和を通して「生きる」ということは何かということについて、ちゃんと目を開けて考える時が来ているなと感じます。

Happy Wedding
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Unknown (緑陽)
2016-08-25 23:52:59
Happy Weddingさん、こんにちは。コメント下さりありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思います。
日本も世界も今後、強固なゆるぎない平和を存続させていくのか、過去の歴史に見るように戦争と平和の繰り返しを歩んでいくのか、まさに分岐点に立たされていると思います。
世代が変わっても、この国が戦争を起こしたという事実からは永遠に逃れられないのですね。

人や国から物や土地や魂までも奪い取るのが戦争です。
そのような行為をして幸福になれることは絶対にありえません。
人間の精神は正しく生きないと、生まれながらにして苦しむように出来ているのだと実感するときがあります。
人間の精神って、実に精巧で、公平な機能を持っているように感じます。
人にどのようにすれば、人も自分も幸福になれるか、本能的にわかっている人が、昔に比べ減ってきているようにも思います。
おっしゃるように、武力で負けても勝っても心の荒廃しか残らないと思います。

ここ数年、じわりと悪い時代に入ってきているように感じます。
すくなくても人それぞれの人生を軽視しない、という気持ちと、ささいなことでも満足できる気持ちを持って生きていきたいものです。
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