緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

法政大学工学部 マンドリンクラブ定期演奏会を聴く

2014-11-23 23:55:11 | マンドリン合奏
三連休の初日は天気が良く暖かいこともあって、東京都心は凄い人手であった。
昨日(22日)は東京、武蔵小金井駅前にある小金井市民交流センター大ホールで開催された、法政大学工学部第51回マンドリンクラブ定期演奏会を聴いてきた。
自分は大学でマンドリン・オーケストラに所属していたが、30年近く前に東京に出てきてからマンドリン・オーケストの生演奏を聴いたことは一度もなかった。
今回インターネットで検索してこの法政大学工学部マンドリンクラブ定期演奏会を知ることが出来、また演奏曲目の中に鈴木静一作曲「劇的序楽 細川ガラシャ」があることから、聴いてみることにした。
開演30分前に到着し、市民ホールに入ったら、とても綺麗なホールで驚いてしまった。
こういう立派なホールは維持費だけでも多額だろうから、頻繁に使用しないともったいないと思った。
観客は多くが学生であった。
さてプログラムは下記の通り。

Ⅰ部
「My Sketch」よりReset! 作曲 舟見景子
組曲「瑞木の詩」より第四楽章「光陽の樹」 作曲 末廣健児
夏空の憧憬 作曲 鳫 大樹

Ⅱ部
戦場のメリークリスマス 作曲 坂本龍一
HIGHLIGHTS FROM HARRY POTTER 作曲 John Wiliams
絵本の旅 作曲 本間ユウスケ

Ⅲ部
劇的序楽「細川ガラシャ」 作曲 鈴木静一
AZZURRO 作曲 丸本大悟

総勢40名弱の編成。金管、木管等の他楽器との共演は無し。
私の大学時代の編成より10数名少ないだろうか。指揮者、コンマス、コンミスが1曲ないし2曲ごとに入れ替わったが、こういう方針は初めてである。
オープニングは大学の校歌で始まったが、これは私の大学時代も同じだ。。
Ⅰ部はマンドリンオーケストラのオリジナル曲なのであろうが、現代的な感覚の曲だ。現代的といっても聴きやすい曲である。和声を聴いているとポピュラー音楽の影響を受けていると感じた。作者は若い世代なのであろう。
私がこういう曲に慣れていないせいなのかもしれないが、どの曲も同じように聴こえてしまう。もっと、聴き手の感情に訴える曲想が欲しいな、と感じた。
Ⅱ部はポピュラー曲からの編曲もの。クラシック曲の編曲ものがあってもいいと思った。
Ⅲ部はやはり鈴木静一の劇的序楽「細川ガラシャ」が聴きものであった。奏者の熱の入れ方も違っていた。
鈴木静一の曲は現在では大学の定期演奏会などであまりは取り上げられることが無くなってきたが、1980年代半ばくらいまでは頻繁に演奏されていたものである。
鈴木静一のマンドリン・オーケストラ曲には演奏時間が20分を超え、金管、木管楽器、ピアノ、パーカッションも含めた大編成で演奏される曲が数多くある。
今回聴いた「劇的序楽 細川ガラシャ」は比較的中規模の曲であるが、鈴木静一の曲の中では人気の高い曲である。
曲の詳細は以前のブログ(http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=e5fff62de4250b703aa4269d5e4d71a6&p=19&disp=10)に書いたので、ここでは省略したい。
曲の中間部で暗く物悲しい旋律が流れる。この旋律は原曲ではフルート独奏であるが、今回の演奏ではマンドリン独奏であった。この旋律は個人的には篠笛が最も適していると感じる。
(下はギターパートの譜面)



しかしとても美しい旋律だ。この旋律を支えるギターの独特の和音とアルペジオは日本古来の楽器である箏の音色と奏法を思わせる。鈴木静一にしか出せない強い個性のある音楽である。
この旋律を弾いたマンドリン独奏と伴奏のギターがとても美しく、今回の演奏会で最も聴き応えがあった。
こうして考えてみると、鈴木静一の曲が今回の演奏会で最も異色の彩りを放っていた。聴く人に必ず強く刻む込む力を持った曲である。
鈴木静一は放送作曲家として30代初めから60歳くらいまでの長きにわたって映画や時代劇等のBGMを作曲してきた。
学生時代に定期演奏会で弾いた大幻想曲「幻の国」邪馬台の演奏後のアンケートに、NHK大河ドラマのテーマ曲みたいだ、と書かれたものがあったのを思い出した。
鈴木静一が、「細川ガラシャ」を初め、交響詩「失われた都」、交響譚詩「火の山」などの数多くの名曲を作ったのは、この長い職業的作曲家時代を経た後であり、この間の長い経験がその後の作風に影響を与えたことは間違いない。

全てのプログラムが終了した後、予想しない展開に。
あと数か月で大学を去っていく4年生のために、1~3年生が花束を贈り、また4年生が今まで演奏してきた曲をメドレーにして、感謝の気持ちを持って演奏してくれたのである。
4年生の多くがこの曲の演奏中に感極まっていたが、素晴らしい計らいだと思った。
この学校の後輩の先輩に対する気持ちの強さに驚くとともに、この体験が卒業していく者の生涯の思い出として心に残り続けることを願わずにはいられなかった。

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