以前、坂東眞砂子の「山姥(やまはは)」を読んで、これを
「やまんば」と読まないところが物語のキーなのだというこ
とがよく分かり、そして作品自体とても面白く、いつかまた
この作家のほかの作品を読んでみようと思っていて、この
『蟲(むし)』という、なぜ「虫」じゃいけないのか読む前から
たいへん興味をそそられるところです。
静岡県のある場所で宅地開発をする東京の業者の社員で
ある男が、現場である木の模様をした石の器を拾い、それ
を妻の土産にしようと持ち帰ります。
その石を居間に置いてからというもの、テレビやステレオの
調子が悪くなり、妊娠中の妻も変な夢を見たりします。その
夢とは、虫送りという地方の祭りで、亡くなった祖母が出て
きて「虫がでた」「虫を送れ」という奇妙な夢。
それから妻は虫が気になってしまい、夫が虫に憑かれてい
るのではと訝り、ついに夫の体から虫が這い出てくるところ
を見てしまい、ショックで倒れて流産してしまいます。
夫が虫にとり憑かれているなど信じてもらえそうもなく、自分
で調べてみると、夫が静岡で拾ってきた石に「常世蟲」という
字があり、それは大昔に今の静岡地方にあった「常世神」と
いう、虫を崇める信仰で・・・
人間の体から虫が這い出てきて、なんて聞くとさぞかしグロ
テスクなものを想像するでしょうけど、作品中ではそれほど
でもなく、どことなく神秘的に描いているのかなという印象を
持ちました。
日本の伝承や信仰にある畏怖を織り込んだ、日本の気候風
土に合ったウェットなホラー、といった感じでしょうか。
「やまんば」と読まないところが物語のキーなのだというこ
とがよく分かり、そして作品自体とても面白く、いつかまた
この作家のほかの作品を読んでみようと思っていて、この
『蟲(むし)』という、なぜ「虫」じゃいけないのか読む前から
たいへん興味をそそられるところです。
静岡県のある場所で宅地開発をする東京の業者の社員で
ある男が、現場である木の模様をした石の器を拾い、それ
を妻の土産にしようと持ち帰ります。
その石を居間に置いてからというもの、テレビやステレオの
調子が悪くなり、妊娠中の妻も変な夢を見たりします。その
夢とは、虫送りという地方の祭りで、亡くなった祖母が出て
きて「虫がでた」「虫を送れ」という奇妙な夢。
それから妻は虫が気になってしまい、夫が虫に憑かれてい
るのではと訝り、ついに夫の体から虫が這い出てくるところ
を見てしまい、ショックで倒れて流産してしまいます。
夫が虫にとり憑かれているなど信じてもらえそうもなく、自分
で調べてみると、夫が静岡で拾ってきた石に「常世蟲」という
字があり、それは大昔に今の静岡地方にあった「常世神」と
いう、虫を崇める信仰で・・・
人間の体から虫が這い出てきて、なんて聞くとさぞかしグロ
テスクなものを想像するでしょうけど、作品中ではそれほど
でもなく、どことなく神秘的に描いているのかなという印象を
持ちました。
日本の伝承や信仰にある畏怖を織り込んだ、日本の気候風
土に合ったウェットなホラー、といった感じでしょうか。
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