晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『剣客商売 辻斬り』

2014-07-10 | 日本人作家 あ
鬼平シリーズはけっこう進んで、この前9巻を読み終えたところ
なのですが、『剣客』シリーズは、だいぶ間をおいて2巻目。

ざっと説明しますと、主人公は秋山小兵衛・大治郎の親子。小兵衛
は老人ですが剣の達人。息子の大治郎は父の”弟子”で、剣の修行
で諸国を渡り歩いた後に江戸に帰り、道場をひらきます。

時代は江戸後期、老中、田沼意次が権勢をふるっていた時代で、
小兵衛は田沼にことのほか気に入られます。

で、主要な登場人物に、佐々木三冬という、女性剣士がいるのですが、
田沼意次の妾腹の娘ということで、有名な道場で”四天王”のひとり
というぐらい強く、はじめのうちは小兵衛に思慕を抱いていますが、
小兵衛は娘ほど歳の離れたおはるという女性と結婚します。

無愛想で体の大きい店主のいる居酒屋での話「鬼熊酒屋」、
どこぞの侍が街中で辻斬りをしているとのことで犯人を探す表題作「辻斬り」、
大治郎が修行中に世話になった人が息子を探しに江戸に来ていたところ
再会しますが、息子は・・・という「老虎」、
又六という鰻焼き売りの男が大治郎に弟子入りする「悪い虫」、
三冬が誘拐されそうになった小間物問屋の娘を助けたことによって事件に
巻き込まれる「三冬の乳房」、
”百鬼夜行”に出てくる妖怪にそっくりな男が小兵衛に襲いかかる「妖怪・
小雨坊」、
小兵衛の馴染みの料亭で、男たちがある御家人を襲う計画を立てているの
を聞いた「不二楼・蘭の間」、の7話。

知らなかったのですが、「旗本」というのは二百石以上の武士で、御目見得と
いって、いわば将軍に会えるわけで、それ以下が「御家人」と呼ばれる武士
になって、でも旗本クラスになると家来を置かなければならず、彼らの給金
なども払うとけっこうカツカツな生活になっちゃうわけですね。

たとえば御家人の末端になると「三十俵二人扶持」とよくありますが、二俵半
が一石だとすると、年間の給料は十二石、で一石=一両で換金したとすると
一ヵ月を一両で、今の価値にすると十万円ぐらいで生活するわけですね。

でもまあ百年以上も戦争のない平和な時代が続いて武士なんて「存在自体が職業」
という、これを当世風にいえば「セレブリティー」となるわけですが、じっさい
プチセレブどころの話ではなく、街には浪人があぶれ、下屋敷では賭博が行われ
るなど、かなり荒んでたようです。




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