晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

マイクル・クライトン 『ライジング・サン』

2008-12-19 | 海外作家 カ
以前、当ブログで「ジュラシックパーク」「ロストワールド」
「ディスクロージャー」と、この作家の作品(ハヤカワでは
マイケルではなく『マイクル』に統一している)を紹介しま
したが、やはりこの作家はあるパターンがあり、問題が起こり
その問題に巻き込まれた人間が解決に向かい、いざ一件落着と
思いきや新たな問題が浮上、最終的には、このままでよいのか
という作者の問題提起。

「ライジング・サン」は、その名の通り「日出づる」、つまり
日本のこと。ロサンゼルスの日系企業が建てた高層ビルの落成
パーティーの日、ビル内で白人女性が殺されているのが発見。
その犯人は、あるロス在住日系人で終わりと思いきや、いろいろ
調べていくうちに、防犯ビデオの細工、市警からの圧力、
企業買収に絡む大物議員など、操作は一筋縄ではいかなくなって
いきます。
奔走する渉外担当官と、日本に精通しているコナーという2人が
解決に向かっていくのですが、コナーの日本の捉え方、日本人の
考え方というのが随所に散りばめられていて、日本人として、
うーん耳が痛い、というのもあれば、いやいや、それはたまたま
その人の個性か一側面であって、日本人の国民性ではないだろ、と
いうのもあります。

ただ、作者はものすごく日本を調べあげた、ということはわかります。

訳者あとがきにも、アメリカ人にとっては日本人は異質な存在であり、
クライトンにとっては「ジュラシックパーク」で恐竜を生き生きと描く
ことと、日本人や日本企業がアメリカを経済的に支配しつつある現状は
ある点では同じである、と書いてありました。
が、だからといって差別的ということではなく、そもそも環境も風土も
文化もまったく異なる両国が手に手を取って同じ方向に歩いていくとい
うのは、並大抵の努力ではいかなく、しっかりと相互理解をしないまま
気がついたら離れられない関係になっていたという日米関係をもう一度
精査し直すことも必要なのではないかということを思い知らされたわけ
であります。


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