晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

高杉良 『大逆転!』

2014-01-09 | 日本人作家 た
昨年は当ブログの拙いブックレビューを読んでいただきありがとうございます。
今年も暇つぶし程度に読んでいただけたら幸いです。

さて、2014年一発目の投稿。
本を読む習慣が無かったころ、せいぜい興味があったのは松本清張。あとは、
経済小説。海外で仕事してたとき、お世話になってた人に「何か日本の小説
あったら貸してください」といって借りたのが、清水一行と堺屋太一でした。
その当時は日本語に飢えてたというのもあって、むさぼるようにそれらを
読んでましたっけ。

ここ最近はもっぱら読書といえば、寝る前のリラックスタイムの一環となって
いるので、堅苦しい経済小説はちょっと敬遠ぎみでしたが、たまに読むのも
いいですね。

『大逆転!』ですが、話の内容は、昭和44年に実際にあった、三菱銀行と
第一銀行の合併から合併白紙という出来事。登場人物も一部を除いて実名。

昭和44年元旦の読売新聞に、「三菱と第一が合併」というスクープが取り上げ
られます。話は遡ること半年ほど前、第一銀行常務取締役の島村は、頭取の
長谷川重三郎に呼ばれ、そこで三菱との合併話を島村は初めて聞かされます。

旧財閥系との合併という話は第一銀行マンにとっては苦い記憶で、戦中に
政府の命令で三井銀行と第一は合併させられて帝国銀行になったのですが、
そのイニシアチブは三井が握って、結局戦後すぐに帝国銀行はもとの三井と
第一の分裂。

島村は、なぜ長谷川頭取がまたあの過ちを繰り返すのか、不思議に思います。
ところが話を聞くと、どうやら三菱の頭取ともおおまかな話はついているようで、
これには島村も反発します。

しかし、第一銀行創始者で「日本の銀行の父」といわれた渋沢栄一の実子である
長谷川頭取の周囲はイエスマンばかり。たちまち島村は形勢不利に。

こうなったらと島村は会長と相談役に話を持っていきます。会長も相談役も三菱
との合併には反対。

行内での島村の立場は苦しくなる一方。そして、大阪の東亜ペイントへの出向が
言い渡されるのです・・・

最終的にこの合併話は白紙撤回となるのですが、島村、会長、相談役の合併反対派
はどのような工作を練っていったのか。
財閥系ではない”庶民の銀行”からスタートした第一銀行マンとしての島村の矜持が
かっこよかったですね。

しかし、実際の話では、これから数年後に第一銀行は”農協に毛の生えたような”
と小馬鹿にしていた勧業銀行と合併します。

それからは怒涛の銀行再編ラッシュで、今ある銀行は合併前はどこだったっけ・・・
と思い出すのにも大変なくらい。第一勧銀は富士と日本興銀と合併してみずほになった
んでしたっけ。富士といえば安田系列の旧財閥系。島村の胸中やいかに・・・








コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宮本輝 『月光の東』 | トップ | 山本一力 『峠越え』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本人作家 た」カテゴリの最新記事