晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

髙田郁 『あきない世傳金と銀(九)淵泉編』

2021-10-23 | 日本人作家 た

秋ですね。といって何か秋にまつわる風流な話など特にありません。車を運転してて、直射日光がツラいので車内にサングラスを置いてあるのですが、夏はあまり使用せず、秋から冬にかけてよく使用します。この時期の夕陽はキツイですからサングラスをかけるのですが、そういえばまだ運転免許すら持っていなかった若い頃、大人がサングラスして車を運転してるのを見ると「なにカッコつけてるんだよダサいな」と思っていたものですが、実際に大人になって見て運転して気付いたのですが、眩しいので仕方ありません。

 

大人の階段上る 君はまだシンデレラさ。

 

さて、とうとう九巻まで来てしまいました。摂津(現在の兵庫県)に生まれた幸(さち)、若くして大坂の呉服商(五鈴屋)に女中奉公に入ったのはいいのですが、そこの番頭に商売の才能を見出されてなんと四代目主人と結婚することに。ところがこの四代目、幸と結婚して早々にあっけなく死んでしまい、弟の惣次が五代目に。なんと幸はこの五代目と再婚。で、この五代目、「商いに情けは無用」のスタンスで己の才覚だけで突っ走り、信用を失い、勝手に隠居してどこかに失踪。そこで、物書きになりたいと家を出た三男を五鈴屋に呼び戻して、六代目に。商売のことは全くわからず、幸に任せて自分は後方支援しますと宣言、そして幸は六代目と再々婚。商売も順調で江戸に支店を出す目処もついた矢先、六代目が病死。新天地の江戸で商売をしていくことになった幸は・・・といった、今までの流れ。

 

で、またまた豪快にネタバレをぶっ込んでしまうわけですが、幸の唯一の肉親である妹の結(ゆい)も江戸に来ていまして、幸は将来的に結と手代の賢輔と添い遂げさせようとし、結もその気になってたのですが、じつは賢輔、五鈴屋に奉公に入って小僧のときからずっと幸に初恋というか憧れというか、想い続けてまして、それが結に気づかれてしまって、大事な反物の型紙を持ってあろうことかライバル店に勝手に嫁いでしまいます。

 

さらに、呉服商仲間の寄合に呼び出され、大名家のお武家さんに反物を売ったことが、もともとその大名家と取引をしていた同じ寄合に属する呉服商になんの報告もなかったことが(暗黙のルール)に反するということで、なんと寄合を脱退させられます。これで五鈴屋は絹織物を扱うことができなくなってしまいます。まるで五鈴屋の商売を何者かが邪魔をしているようなのですが、とはいっても店は開けなければいけないということで、売ることができる木綿で、なにか新商品を考えなければ・・・

 

まあ、なんといいますか、なかなかドラマチックな展開です。ただ、このシリーズも、「みをつくし料理帖」もそうですが、主人公が自分からみすみす不幸になる選択をしておきながら「はあ、私ってなんでこうなんだろう」みたいな(悲劇のヒロイン)のように描いてはないんですね。そこが救いといいますか。


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