晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

三浦しをん 『まほろ駅前多田便利軒』

2012-01-25 | 日本人作家 ま
むかし、音楽のレコード(古いですね)を買うときに、知らない
歌手でも、そのアルバムのジャケットが気に入って買う、いわゆる
「ジャケ買い」というのがありましたが、本においては、装丁買い
をする人がいるかは分かりませんけど、タイトルに心惹かれること
はあると思います。
この『まほろ駅前多田便利軒』も、前から「タイトル買い」しようか
なあ、と考えていた作品。もっとも、直木賞受賞作なので、未知の
作品ではありませんが。

東京の南西部にある都市、まほろ市で便利屋を営む多田。この「まほろ」
とは、文中によると「神奈川に突き出すようなかたちで存在」して、
友達が遊びに来て、都知事選のポスターを見て「まほろって東京なのか」
と驚かれ、市内を国道16号、JR八王子線(横浜線?)が走り、八王子
線と交差する私鉄の箱根急行(小田急?)、映画館も、デパートもあり、
わざわざ都心まで出なくても不便しない、とまあ、ここまで書けば関東
にお住まいの方は「ああ、あそこね」とお分かりになるかと。

そんな多田のもとに、バスの時刻表が正しいかどうかチェックしてくれ
という依頼があって、バス停に行ってみると、そこには多田の高校の
同級生、行天が。
行天は高校時代、誰とも話さず、唯一発した「言葉」は、裁断機で小指
を切ってしまったときの「痛い」だけ。もちろん多田とも会話らしい会話
はしたことがありませんでした。

それがいきなり、馴れ馴れしくも「今晩泊めて」ときて、そこからずっと
居座ってしまいます。

はじめは多田の仕事に付いて来て、手伝うわけでもなく、留守番を頼めば
電話番も伝言もろくにできず、そのうち仕事をもってくれば、厄介ごとで・・・

このふたりに漂う、なんともいえない無気力というか退廃的というか、
多田は何か行天に対して思うところあり、過去に何かがあって、しがない
便利屋をやり、行天は結婚していたらしく、子供もいたと本人は言います
が、きちんと大人の生活をしていたとは思えないほどで、修羅場をくぐって
きたようなところもあり・・・

この1冊で一応完結はしていますが、なんだか続編を読まずにはいられない
ような、そんな気持ちにさせられます。

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2 コメント

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確か (こに)
2012-01-28 18:17:54
人気作家さんだし、賞ももらっている作品だから、と読んだのですが当時は今ひとつ入り込めませんでした。
再読してみようかしらん。
返信する
Unknown (ロビタ)
2012-01-28 19:01:12
こにさん>

たしかに、仰る通り、なんとなくフワフワとした感じで、文中にのめり込めずに気が付いたら読み終わってた、そんな印象でした。
返信する

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