晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐藤雅美 『槍持ち佐五平の首』

2018-05-22 | 日本人作家 さ
だいぶ間をあけての投稿となってしまいました。

というのも、今月に入ってから、やたら眠くて、
だいたい夜の7時ごろ夕飯を食べて、それから
なんだかんだで9時ごろにはもう布団に入って
そのままスヤーといってしまいます。

読書タイムは基本的には就寝前の1時間ぐらい。
本が面白くてどうしようもないときには2時間
や3時間になってしまうこともありますがここ
しばらくは読書タイムが取れないので、移動中
や病院での待ち時間にちょこちょこと読む程度。

ま、そんな個人的な話はさておき、佐藤雅美(
まさよし)さんの作品ははじめて。

この作品は時代小説の短編集で、簡単にまとめ
てしまえば全部いやーな話。
全編、江戸時代の武士の陰湿な、狡猾な部分を
描いていて、江戸時代はいい時代だった、武士
はみんないい人、そんな風に思ってる方には逆
な意味で「面白い」作品だと思います。

ある旗本の娘の嫁ぎ先を探すために旗本家の用
人が奔走し・・・という「小南市郎兵衛の不覚」。

陸奥相馬藩の家来は参勤交代の宿を予約します
が、あとから格上の会津藩が宿を横取りしてき
て・・・という表題作の「槍持ち佐五平の首」。

江戸末期の旗本、近藤重蔵という人物記の「ヨ
フトホヘル」。このタイトルは、近藤がかつて
蝦夷地取締り役だったことを、当時のスター、
太田南畝が「近藤はじつはロシアの回し者で、
酔うと吠える(ヨフトホヘル)という」と付け
た、とか。

幕府の御役「小普請組組頭」に入った新入りに、
先輩が陰湿な嫌がらせを・・・という「重怨思の
祐定」。

先輩の夜食のお粥に灯油を入れたというなかなか
ブッ飛んだ矢部駿河守定謙を描いた「身からでた
錆」。

とにかく見栄っ張りな津軽藩の当主、右京太夫が
息子に(よかれ)と思ってしたことが・・・とい
う「見栄は一日 恥は百日」。

農家の嫁に乱暴し、それを止めに入った亭主の腕
を刀で斬ってしまった大名、井上河内守正甫の話
の「色でしくじりゃ井上様よ」。

天保の改革でお馴染み水野忠邦が家来に水野家の
家譜編纂を命じたところ、八代目当主の忠辰とい
う人物が「十四歳で家督を継ぎ、二十九で病を得
て卒す」とだけで、詳しく調べると座敷牢で亡く
なったことが分かり・・・という「何故一言諫メ
クレザルヤ」。

井上河内守の話は池波正太郎さんの短編に架空の
大名としてありましたね。
この作品に限らず、江戸時代の幕閣あるいは大名
家の権謀術数、または末端武士の悲劇などはよく
書かれてきましたが、この『槍持ち佐五平の首』
の読後の「やりきれない」感はなんともいえず、
強烈です。

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