晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

高田郁 『みをつくし料理帖 花散らしの雨』

2017-06-03 | 日本人作家 た
まだ読んでいない時代小説でシリーズもの
となると、読み始める、つまり(買う)基準
は、ミーハー的な基準ですと、作家が有名、
文学賞を受賞している、あるいは映像化され
てる、というもの。

で、高田郁さんというお名前は、不勉強なも
ので存じ上げませんでした。
映像化に関していうと、数年前に民放でやって、
さらにNHKで先週始まったばかりという
ナイスタイミング。

『花散らしの雨』は、シリーズ2作目。
前作までをざっと説明しますと、主人公は澪
(みお)という女性の料理人。
大坂で生まれ、洪水で孤児となったところを
料亭(天満一兆庵)の女将、芳に拾われ、
澪に料理の才能があると知った主人は料理人
にさせようとしますが、料亭は火事で消失。
助かった主人、芳、澪の3人は天満一兆庵の
江戸支店に来てみると店は潰れてて、支店長
は行方不明。
主人は亡くなり、芳も具合の悪い状態でどう
しようとしていたところ、神田のそば屋
(つる屋)の主、種市に「うちで働きな」
と誘われます。
はじめこそ、大坂風の味と江戸風の味の違い
に悩みますが、自分の持ち味は壊さずに江戸
の人の口に合う料理を開発して、たちまち
評判になります。
そんな中(つる屋)の評判が気に入らない
「登龍楼」という料理屋が嫌がらせを・・・

といった感じです。で、前作では(つる屋)が
不審火で燃えてしまい、屋台からスタートしよう
と奮闘する澪でしたが、九段坂下に移転します。
今度の店は2階に個室の部屋があり、お武家さん
なんかも多く来るようになります。

新しいお店は一階が入れ込みの座敷で二階もある
ので下足番が必要かもと話していたその後日、
種市が新しい女中さんを連れてきます。
名前を(ふき)といい、聞けば両親を早くに亡く
したということで澪や(つる屋)の人たちは、
はじめこそ同情で雇ってあげたのですが、とても
いい子でよく働きます。

(ふき)が来てしばらくして、お客さんから
「ここも登龍楼と同じ新作料理かい」と言われ
澪は驚きます。
というのも、江戸では(雑草扱い)だった雪ノ下
という野草を天ぷらにして種市に味見してもらった
ら気に入って、これを春の看板メニューにしようと
決めたばかりだったのです。
しかし、野草の天ぷらなど修行した料理人なら思い
つくので、ただの偶然よと澪は思いますが、なんと、
今度の新メニュー(三つ葉尽くし定食)もまた登龍楼
で出されていて・・・

それとは他に、行き倒れの青年を助けると、青年は
房州、流山の酒屋で(白味醂)という商品の売り込み
で江戸に出てきたものの、どこの店でも断られ、つい
に行き倒れになったのです。
しかし澪と芳は「これは上方なら絶対売れる」と助言
して・・・

あとは、澪と芳の住む長屋のご近所さんで(つる屋)
の手伝いもしてくれるおりょうさんの息子、太一が
麻疹にかかり、治ってきたと思ったら今度は母親の
おりょうも麻疹の症状が・・・

神田にあった(つる屋)のときから何かと澪と芳が
世話になっている源斉先生がまた九段坂下の店にも
来るようになります。が、源斉先生に片思いして
いる、ある大店のお嬢様が、澪と源斉がいい仲と
勘違いし・・・

2作目で、清右衛門という戯作者が登場します。
はじめこそ(いやな客)だったのですが、店で
下足番が必要だとなったきっかけも、登龍楼の
メニューパクリ事件も教えてくれたのは清右衛門
でした。
まあ、憎まれ口を叩きつつも(つる屋)には足繁く
通ってくるので、澪も憎まれ口を返すことも。
清右衛門は長屋の差配(大家さん)もしていて、
神田の長屋から九段坂下の(つる屋)まで通うのは
大変だろうと澪と芳に(つる屋)の近所の長屋を
紹介してくれたり、けっこういい人なのです。

前作に出た小松原という浪人なのかよくわからない
武士が、九段坂下の店にも顔を出します。
ですが、登龍楼の一件で、登龍楼の主が「あなたと
小野寺様とはどんな関係だ?」と聞かれますが、
もしかして小松原さまは小野寺様という本名?
そして、前作に出た、吉原の大見世の料理番という
又次も登場。

澪には(野江ちゃん)という幼馴染みがいたのですが
子どものころ大坂で洪水があって以来行方知れず。
ところが、又次のいる見世の花魁(あさひ太夫)は、
もしかして野江ちゃんなのでは・・・というところで
前作は終わっていたのですが、さてどうなんでしょう。

(白味醂)の話ですが、千葉県流山市はじっさいに
味醂の有名なところでして、「マンジョウ本みりん」
は流山の会社です(経営はキッコーマンだったかな?)。

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