晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

東野圭吾 『容疑者Xの献身』

2010-04-10 | 日本人作家 は
今さら?あるいは今時?というくらいなのですが、読んでいな
かったので仕方ありません。まあいずれにしても、東野圭吾の
作品にはハズレが無く、安心して読めるのですが、作風という
か、文体の雰囲気が、ひたすら灰色の空の下を歩いているよう
な、なんというかそんな感じがするので、どうしても読了後の
スッキリ感を味わったという経験がありません。

つまり、心にゆとりがあるときにしか読まないということなのです。
そんなわけで、東野圭吾を読む(ゆとり)があると認識できたので、
読んでみることに。

東京の隅田川沿いに暮らす高校教師の石神は、勤務先の学校へ
向かう途中にいつも立ち寄る弁当屋があります。
その店では、石神の住むマンションの隣の住民でひとり娘を育てる
女性、靖子が働いており、弁当屋でも、かならず立ち寄るあの男に
好意を寄せられているとからかわれますが、ただの隣人で、挨拶程度。

ある日、靖子のもとに歓迎されざる男がやってきます。それは前夫で、
失職し生活が荒れ、暴力をふるうまでになり離婚したものの、その後
もしつこく付きまとってきて復縁を迫ります。
仕方なしに家に上げて、金を渡して二度と近づくなと言いますが、前夫
は逃がさないと脅します。すると娘が花瓶で後頭部を殴りつけ、哀れ
前夫は息をせず動きません。

すると、隣の石神から電話が。ことの次第を説明する母娘。それを
聞いた石神は、自分に処分はまかせろと言うのです。

数日後、江戸川河川敷で男の死体が発見。顔は潰され指紋は燃やされ
衣服も燃やされています。そばにあった自転車についた指紋や遺留品
から被害者は靖子の前夫とわかり、死亡推定時刻は3月10日の夜。
警察は靖子のもとに聞き込みに来ますが、母娘とも3月10日夜は
ふたりで映画に行き、ラーメンを食べ、カラオケに行ったとアリバイ
があります。

捜査担当の刑事は、知り合いの物理学者、湯川のもとへ。湯川は理論
的解釈もしますが天才的な探偵の才能もあり、刑事は助言を求めに、
よく湯川の研究室に訪れるのです。
事件や操作の進捗を話す刑事。すると母娘の隣人が石神だと聞き、
湯川は「あの天才数学者が」と驚きます。
じつは湯川、石神、そして刑事は同じ大学の同期で、湯川と石神は
ともに認めるほどの天才。しかし石神は家庭の事情と学会の複雑さ
で数学の研究を諦め、教師の道へ。
湯川は石神のもとへ向かいます。旧友との再会に喜ぶ石神。そして
隣の部屋には件の母娘が・・・

天才数学者が諸般の事情で研究を諦めて、というのはフジテレビ系
ドラマ「やまとなでしこ」で堤真一演じる魚屋を思い出してしまった
のですが、たんに数学の才能だけでは当然食べてはいけず、金銭的な
フォローであり、または巧みな世渡りも必要不可欠。
数学は天才的でも日常生活では不器用。そんな不器用がゆえの物語
の展開は、涙を誘います。

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