晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

パトリシア・コーンウェル 『死因』

2011-03-03 | 海外作家 カ
この作品は、ヴァージニア州検屍局長の女性、ケイ・スカーペッタ
と、はじめの頃こそいがみあっていたのに、回を重ねるにつれて
以心伝心、とまではいかないまでも良きパートナーとなった、リッチ
モンド市警察警部のピート・マリーノ。
そして、ケイの姪で、天才的なコンピュータ頭脳の持ち主で、現在
はFBIに所属するルーシー。
いちおうは、ケイを中心として、この3人を主軸にシリーズは続いて
きているのですが、シリーズ第1作目では、まだルーシーは、ほんの
ティーンエイジャーで、やがて大学を卒業、FBI職員となったので、
この『死因』(7作目)までに、およそ10年が経過したことになる
のですが、その時間経過を感じさせるものは、ルーシーくらいなもの
で、ケイやマリーノに関しては、基本あまり変わっていません。

海軍の造船所跡で、ダイバーの死体が発見されます。この地域は潜水
禁止であったのですが、このダイバーはケイも知っているジャーナリスト
で、どうやら何かを探そうとして、不慮の事故に遭った模様。しかし、
検屍にかかってみると、他殺の可能性も出てきます。

ところで、なぜケイが海軍の造船所跡という海辺にいたのかというと、
ヴァージニア州のチェサピークという地域を管轄する検屍官のドクター・
マントが所用でイギリスへ行っているために、代理でチェサピークに
来ていたのです。

地元とは違うので、ずいぶんと勝手が違うのは当たり前ですが、それに
しても、海軍のグリーン大佐や、地元警察のローシュ刑事は、なにかと
ケイの行動に”ちょっかい”をかけてくるのです。

ケイが滞在しているのはマントの家で、そこにルーシーとマリーノも
来るのですが、その夜、何者かが家の周りをうろつき、車をパンクさせ
ます。

招かれざる客となってしまったケイ。死んだジャーナリストの自宅を
捜査してみると、そこにはおびただしい数の銃器、そして、なぜかカルト
教団の本が・・・
そのカルト教団の本拠地は、なんと、ジャーナリストが死亡した湾がある、
チェサピークだったのです・・・

初期の作品は、ケイの検屍がきっかけで、というかそれこそが重要な
ポイントで犯人を追い詰める、というカタチだったのですが、やがて
犯罪のスケールも大きくなってゆき、今作では、ジャーナリストの
死因が事故ではなく他殺だとケイが発見する、ところまではいいのです
が、そのあとの展開としては、狂信カルト集団対FBIという大掛かり
なものになり、こういってはなんですが、飛んだり撥ねたりのアクション
エンタテインメントは他でもじゅうぶん楽しめますので、この検屍官ケイ
シリーズは、派手な展開ではない、じっくりと読ませる医学系ミステリー
のほうがいいですね。



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