晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

矢口敦子 『償い』

2011-07-02 | 日本人作家 や
まずこのタイトルからして「重い、苦しい、切ない」といった
イメージがどうしても浮かんできてしまうのですが、そんな
やりきれない話がこのまま続いたら「う~ん」となるところ
でしたが、とりあえず光明を見出せる締めくくりにしてくれて
ホッとした、といいますか。

36歳の元医師、(男)という人称ではじまります。(男)は
子どもを病気で失い、妻に自殺され、それを自分の責任と感じ
何もかも捨てて、ホームレスになってしまいます。

そんな(男)のベースとなっているのは埼玉県光市(おそらく
和光市ではないかと)。はじめこそ都内の公園で寝泊りしてい
ましたが、どこかで知り合いに会うことも有り得るので、自分
とは縁も無い地へ移ることに。

といっても、この光市は、(男)にとって縁の深い地だったの
です。

(男)が日高英介という医学部の学生だったころ、当時の恋人
とドライブへ出かける途中、光市のスーパーで、小さい男の子
が自転車に乗せられるところを見て、その後にその男の子の母
親が血相を変えて我が子を探しているのを知り、さきほどの
自転車の男は誘拐?と理解した英介はその男を行方を探し出し
ますが、男の子は首を締められていて意識不明だったのですが
英介の救助のおかげで一命をとりとめます。

このような少なからぬ因縁の街で、次々と殺人事件が起こります。
(男)は放火殺人の現場にたまたま居合わせて、通報します。と
ころが、署に連れていかれ放火の疑いをかけられ、取調べを受け
るのです。

しかし、取調べをしていた山岸という刑事は、(男)こと日高英介
を使えると踏んで、探偵を命じるのです・・・

そんなこんなで英介は、日中を図書館で過ごすことにしたのですが、
そこで出会った高校生と話をするようになります。なんとその高校生
は、自分が15年前に命を救ったあの男の子だったのです・・・

そして、連続殺人の真犯人は、その高校生ではないかと英介は疑い・・・

構成は丁寧だなあ、という印象。物語に没頭し過ぎないように適度に
距離を置いて読んだほうがいいな、と思いました。

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