晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

髙田郁 『みをつくし料理帖 天の梯』

2020-05-10 | 日本人作家 た
とうとう最終巻。

澪にとって育ての母の「ご寮(りょん)さん」こと芳の再婚も決まり、てっきり周りは澪が芳の嫁ぎ先である料理屋の厨房に入るものと思っていたのですが、澪は貸家で吉原に卸す料理を作ると一大決心。しかし夜は引き続きつる家を手伝うことに。そんな中、新しい料理を考えることになり、葛を使ってはどうかと思ったのですが・・・という「結び草 葛尽くし」。

澪のもとにある武士が千代田城内の徒組のために十六文で十人前の弁当を作ってほしいと依頼。その弁当が千代田城内で好評と聞き喜んでいる中、次の新作料理に自然薯を使おうとしていると、つる家の料理人の政吉が、なんと皮つきですりおろしはじめるではありませんか。ところがこの料理が料理番付で・・・という「張出大関 親父泣かせ」。

芳のもとに遊びに行った澪。するとある客の忘れ物を目にした澪は、この物体は何だと疑問に思います。医師の源斎に聞いてみると牛の乳に砂糖を加えて煮詰めた「酪」ではないかというのです。ただし、この「酪」は将軍様のみが口にできるもので、民間には出回らないもの。そこに、芳の旦那さんが自身番に連れていかれたと・・・という「明日香風 心許り」。

吉原に卸している澪の作る料理が話題になるのですが、ひとりで作るには一日に三十個が精一杯。こんなんじゃいつまでたっても目標金額には届かないと考える澪ですが、そこでレシピごと売ってしまえばいいとひらめいた澪は、さっそく札差に相談するのですが・・・という「天の梯 恋し粟おこし」。

豪快にネタバレをブッコミますが、最終巻であさひ太夫こと野江ちゃんと澪は念願の再会。そして澪個人も幸せに。
素晴らしい作品です。きっとまた近いうちに読み返すでしょう。

世間では気の滅入る話題でもちきりですが、現実逃避といっては聞こえが悪いですが、そんな嫌なことをひとときでも忘れさせてくれるのが「読書」の醍醐味であると思っています。いや別に読書だけでなく、映画やドラマやアニメなんでもいいですが、こういうご時世だからこそ心に余裕を持っていたいものです。
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