晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『剣客商売番外編 黒白』

2017-03-19 | 日本人作家 あ
「藤枝梅安」シリーズも読み終え、これからはシリーズ
ものではなく、長編短編は問わず単発ものを読んでいこう
と思ったら、まだこの作品があったではありませんか。

「番外編」ということですが、スターウォーズでいう
ところのエピソード1~3ぐらいの位置づけでいいの
ではないでしょうか。

スターウォーズを観てない方にとってはなんのこっちゃ
分からないでしょうけど。

さて、目黒にある剣術道場の主、浪切八郎は(あること)
で悩んでいます。
それは、浪切の弟子、水野新吾に関する良くない話。
なんでも、浪切に無断で道場破りをした、というのです。

弟子の非行なら師匠がやめさせればいいのですが、じつは
水野がこうなってしまったのは浪切に原因があるのかも
知れないので、問いただそうにも訊けません。

そしてここ数日、付近で起きている辻斬りは、じつは水野
の犯行だと分かった浪切は、さすがに放っておけずに
水野を斬り殪してしまうのです。

信頼のおける弟子にはこの一件を打ち明け、そして浪切は
道場から姿を消してしまいます。

しかし浪切は、2年後には必ず戻ってくると誓います。
それは、ある御前試合で浪切は秋山小兵衛という剣士に
負けてしまい、次は真剣勝負がしたいと小兵衛に果たし状
を送り、2年後にと承諾してもらったのです。

とはいうものの、どこへ行ったらいいのか迷った浪切は、
亡き父が「困ったらとりあえずあの人のところへ行け」
と話していたのを思い出し、とある料理茶屋へ。

茶屋の主は浪切を離れの一室で寝泊まりさせ、三食付き
という高待遇をし、さらに、京都へ行きたいという浪切の
ために道中手形を発行してくれます。

浪切は、世話係の女中、お信と仲良くなり、お信から
「自分の父を殺した奴がこの近くに住んでいる」という
話を聞いて、お信の敵討ちの助太刀で、浪切はその浪人
を殺します。
ところがその次の日、お信が手紙を残してどこかへ消えて
しまい、さらに茶屋の主から、先日の浪人殺しで町奉行が
捜査していると聞かされた浪切は、岡本弥助と名乗る武士
を紹介されて、なぜか彼といっしょに逃げることに・・・

いよいよ約束の日。小兵衛は勝負の場所である寺の境内に
います。ところが、時間になっても浪切八郎は現れません。
真剣勝負をしようと果たし状を送ったその当人が来ないと
なれば、もしこの一件を小兵衛が誰かに漏らそうものなら
浪切八郎は剣士として生きてはいけません。

「いったい浪切殿に何があったのか」

心配になった小兵衛は、目黒の浪切道場に行き、そこで、
浪切八郎が行方不明になっていると知るのです。

あの約束の日。浪切は、なんと岡本の案内で、京都に
いたのです。なぜ京都に。
冒頭に「スターウォーズ」を例に出しましたが、そう、
浪切八郎は「ダークサイド」に堕ちてしまい・・・

浪切と小兵衛のメインの話の他に、小兵衛の最初の妻
で大治郎の母であるお貞との出会いそして結婚のエピ
ソード、それからシリーズで登場する御用聞きの「四谷
の弥七」の父親である助五郎、さらに小兵衛が隠居場を
鐘ヶ淵にした話も出てきて、「おお、そういうこと
だったのね」と読んでてなにやら嬉しくなってしまい
ました。

コメント
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