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晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

海堂尊 『夢見る黄金地球儀』

2012-02-13 | 日本人作家 か
ふだんは病院のお世話になっている割には、日本の医療の
問題点などに興味を持っていないというのは良くないなあ、
とは思いつつも、どうしても他人事としか捉えられなかった
のが、この海堂尊の「チーム・バチスタ」シリーズを読んで
からというもの、多少は目を向けるように意識が変わりまし
た。

「チーム・バチスタ」シリーズ以外にも、スピンオフ的な作品
が出ていて、中には「ジーン・ワルツ」のような映画、ドラマ
化したのもありますけど、この『夢見る黄金地球儀』は、一連
の医療ミステリとはかけ離れた、いや全く違う、ただし舞台は
首都圏の架空都市、桜宮市ではありますが、ドタバタアクション
コメディとでもいえばいいのでしょうか。

今から二十数年前、バブルで浮かれていたころ、日本中の地方自治
体に一億円を「くれてやる」という、今にして思えば常軌を逸した
政策がありましたけど、話はそこからスタートします。

桜宮市の議会では、この一億円の使途について、ああだこうだと
紛糾議論のすえ、金で地球儀を作ることに決定。しかし純金で球体
を作れば小さなボールくらいにかならず、結局、日本とその他の
部分だけ金にして、他は錆びない金属で加工、直径70センチの
地球儀ができあがり、その保管場所として、桜宮の近海で発見され
た新種の深海魚「ボンクラボヤ」の展示している水族館に決定。

それから時は過ぎて2013年。平沼鉄工所の営業をしている平介
は、父親である社長が勢いで桜宮市と契約してしまった仕事で悩み
ます。それは、水族館に展示してある黄金の地球儀を“タダで”警備
するという、鉄工所の仕事とはおよそ関係ないもの。

ちょうどその時、平介の大学の同級生、「ガラスのジョー」が数年
ぶりに現れて、再会を懐かしむ前に、なんと桜宮市の黄金の地球儀
を盗もうという計画を持ちかけてくるのです。

水族館の警備はほとんど機能しておらず(ザル)状態であることを
知っていて、さらに水族館の見取り図までも持っている平介にとって
魅力的な計画ですが、もし地球儀が盗難にあえば損害は平沼鉄工所が
負うことになってしまうのです。

とりあえず水族館に行く平介とジョー、そこで平介はナイスアイデア
を閃めくのですが・・・

舞台が桜宮市で、バチスタシリーズとは関係ないと先述しましたが、
名前こそ出ませんが、ジョーが「とんでもない官僚の講演」を聞いて
世界ががらりと変わったと話していますが、まあおおよそ見当はつく
でしょう。
さらに、桜宮市の壁翠院病院についてもチラリと触れていて、それが
「アリアドネの弾丸」のラストシーンと関わってくるようです。