晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

楡周平 『猛禽の宴』

2011-09-19 | 日本人作家 な
デビュー作「Cの福音」があまりにも面白く、続きがある
と知って、はやく読みたいと急いで本屋に行って買ってき
ました。

父親の仕事の都合でアメリカへ渡り、大学入学の直前に
両親を飛行機事故で亡くし、大学に入り、チンピラに
襲われたときに誤って相手を殺してしまい、正当防衛が
認められるも、決まっていた就職先から断られ、大学時代
の友人(この友人は事故死した)の父親を頼ってマフィア
の道に入った日本人、浅倉恭介が主人公の話で、前作『Cの
福音』では、完璧ともいえるドラッグの密輸そして日本国内
での販売網を構築するも、警察ではなく台湾系マフィアに
追われてしまい、いったん日本での活動を休止して、アメリカ
へ戻った恭介、というところからはじまります。

恭介を死んだ息子のように可愛がるファルージオ、この男は
ニューヨークを拠点とするマフィアのドン。ひさしぶりに
再会する恭介とファルージオ。そして、その席には、マフィア
の重役たちも。
ここ数年、どうもマフィアの上納金が減っているとファルージオ
はお怒りの様子。というのも、香港の中国返還にともない、香港
のマフィアがいっせいにアメリカに流れ込んで、その中国系マフ
ィアは、それまでの流儀や縄張りなどお構い無しに勢力を拡大し、
ファルージオのファミリーも手を焼いている状況。

ブルックリンとブルックス界隈を仕切っていたコジモは、もともと
黒人系やラテン系との小競り合いがあった上に中国系とも争わなけれ
ばならず、売上げダウンで窮地に追い込まれます。

そんな中、ラテン系が中国系と手を組んで、ニューヨークに君臨する
イタリア系マフィアのドン、ファルージオを殺そうとする計画が。
その計画は恐ろしく大胆なもので、オフィスへ向かうファルージオの
乗る車に向かって、追撃砲を発射するのです。
車は大爆発、しかし後部座席にいたファルージオはなんとか一命を
とりとめるのですが、車椅子生活を余儀なくされ、ここで後継者争い
が・・・

この騒ぎに便乗してマフィアの頂点に立ってやろうとコジモはたくらみ、
ナンバーツーがドンに就任した直後に暗殺、これを中国系とラテン系の
仕業に思わせ、とうとうコジモがドンの座に。

一方、アメリカはケンタッキー州の山奥で、七面鳥ハンティングを楽しむ
恭介。組織から“あてがわれた”女性ナンシーも魅力的で、幸せな時を
過ごしていました。また山へ狩りに出かけると、反対方向から人間が。
なんとか誤射を避けて近づきます。男はテキサスから来て、アランと名乗り
ます。突然アランは苦しみだし、恭介はバッグの中の薬を取り出しアラン
に飲ませます。

アランはもともと空軍のヘリパイロットだったのですが、湾岸戦争に派遣
されたときに軍から支給された薬が原因でヘリの操縦ができず退役、生活
が荒んで妻と子に去られてしまいます。
軍の払い下げ品を売るという仕事に就きますが、政府の意向で軍費削減、
なんでもかんでも払い下げ、中には海外に絶対に渡ってはいけないとされる
情報の入ったファイルまでもが流れてきて、軍に、そして国に対して憤り
を持っているアラン・・・

アランは今でも後遺症に苦しんでいて、その発作がはじまったときに恭介
に助けてもらい、身の内話を語るアラン、そして軍のファイルも話します。
これは面白そうだと恭介は感じて、自分は商社員で、そのファイルを高額
で買い取ると伝えます。

というケンタッキーでの休暇中にいきなり飛び込んできたボス襲撃の知らせ。
急いでニューヨークへ戻る恭介。なんやかやでコジモがドンに就任と聞き、
何やら怪しいと読みます。
自分を実の息子のように思ってくれるファルージオを恭介も慕い、なんとか
して犯人を探し出そうとしますが・・・

ナンシーとアランも絡んできて、ここから目まぐるしく展開し、手に汗握る
アクション、もう素晴らしいです。

そして、終わりのほうに、なにやら「含み」を持つシーンが。CIAの人間
が恭介を?うーん、どうなるんでしょうか。
コメント
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