晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

マイクル・クライトン 『失われた黄金都市』

2010-11-05 | 海外作家 カ
マイクル・クライトン(ハヤカワではマイケルではなくマイクル)
の小説を読んだのは久しぶりで、今まで読んだ作品に共通している、
危機が起こる、なんとか解決、また別の危機、これまたなんとか解決、
そして最後にわれわれ人類に対する「未来はこのままでよいのか」という
警鐘、この構成。

アフリカのザイール川流域に地質調査へ出かけた「地球資源開発技術社
(ERTS)」の隊が全滅、アメリカのヒューストンと連絡が途絶えます。
そして、送られてきた映像には、聞いたことも見たこともない遺跡のよう
な建造物と、隊員が「何者」かに襲われている、というもの。

映像を詳しく解析してみると、どうやら灰色のゴリラのように見えます。
そして、ぜーぜーという奇妙な息づかいの音。
ただちに隊員を派遣して、何が起こったのか究明しなければならなくなり、
ERTSの女性科学者、ロスが名乗りをあげます。
ロスは、カリフォルニアに住む霊長類の学者、ピーター・エリオットに
連絡をつけ、ピーターの研究対象であるゴリラとともにアフリカへ行って
調査隊に同行してほしいと依頼。

これにピーターは、待ってましたとばかりに賛成します。
というのも、ピーターの研究、ゴリラは人間と会話はできなくとも、人間
が話している内容は理解しているはずで、手話を教えこんで、コミュニケ
ーションを取る、という研究をしていて、アフリカでみなし子だったメス
ゴリラのエイミーとピーターは、簡単な会話は手話を通してできるまでに
なりました。
ところが、どう間違ったのか、ピーターの実験は動物虐待だという情報が
出回り、動物愛護協会から、霊長類学会から袋叩きにあってしまうのです。
そんな状態でのロスからの誘いだったのでした。

ロスとピーター、そしてゴリラのエイミーはザイールへと旅立ちます。
現地で、元傭兵でガイドのマンローを雇い、連絡の途絶えた隊員のもとへ
と向かうのですが、この地域には、コンピュータの性能が格段にアップする
といわれる「ブルー・ダイアモンド」が埋まっているという報告があり、
ERTSは、日本・ヨーロッパの合弁会社の調査隊より早く現地に着き、
採掘権を取らなければならないのです。
敵は、ERTSの行く手をさまざまな形で妨害、エイミーを誘拐したり、
彼らの飛行機に盗聴器をしかけたり。

はたして、ロスたち一行は、カメラ映像にあった遺跡まで辿りつけるのか。
そして、映像に写っていたゴリラのような生物は何者なのか・・・

物語は1970年代の後半ごろの話で、今現在から30年近く前の設定
なのですが、この当時の未来予測は、コンピュータの世界席捲、中国の台頭
など、大まかなところで当たっていて、さすがクライトンというか、思うに
優れた作家の条件は、先見の明があるということですね。

クライトンの作品の特徴として、虚構の「資料」の内容を掲載したりします。
これが、リアルなのかフィクションなのか分からず、なんとも人を食ったような。


コメント
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