晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『今夜は眠れない』

2010-10-14 | 日本人作家 ま
ある日、普通の団地に住む、ごく普通の家族に、大金5億円が
舞い込んできたら・・・という話なのですが、そこは稀代の
ストーリーテラーの宮部みゆき、ただでは終わらせません。

雅男は中学生でサッカー部に所属、ごく普通の一般家庭で
暮らしています。
そこに、弁護士が訪ねてきます。はじめは、父親の浮気でも
バレたか?と思っていたのですが、話をきくと、「伝説の相場師」
といわれた老人が泣くなり、遺言で、かつてアパートの隣に住んで
いて、怪我をしたときに介抱してくれた緒方草子聡子さん(雅男の
母親)に遺産5億円を贈る、というのです。

たちまちニュースとなり、近所でも、雅男の通う中学校でも
この話題でもちきりとなり、家には怪しげな宗教団体からの寄付、
また、恐喝ともとれる脅しの電話がひっきりなしにかかってくる
ようになり、平和な生活が一変。

さらに、いくら結婚前のこととはいえ、何も関係のない女性に
5億もの大金を贈るとは、と父親は疑います。というのも、会社
でもこの話題で、妻に浮気された哀れな男という社内での視線に
晒されていたのです。

そしてとうとう家庭崩壊か、父親は出て行ってしまうのです。
雅男も、サッカー部で明らかに周りの部員の態度が変わり、学校
では、親友で将棋部の島崎としか話し相手がいません。

ようやく夏休みとなり、それでも買い物に行くのもままならず、
弁護士のすすめで、避暑地の別荘に出かけることに。

しかし、弁護士事務所の職員の運転する車で別荘に向かっていた
母と雅男だったのですが、職員が道に迷い、しかたなく迷った先
で知り合った団体にお世話になります。

ところが、その弁護士事務所では、雅男と母が誘拐されたと大騒ぎ
になっていて・・・
老人はいったい、何のために5億円を聡子に遺贈などしたのか。
そこにはある意外なカラクリが・・・

ここから事態は2転3転、4転も5転もし、さらに、謎の女性が
出てきたり、殺人事件こそないですが、ミステリー感あふれる物語。

雅男の親友の島崎というのがなかなか面白いキャラで、口調や思考は
大人そのもの。冷静沈着。可愛げがありません。

この続編にあたる「夢にも思わない」という作品があるのですが、
じつは先にそっちを買ってしまい、『今夜は眠れない』を読んでから
にしようと読まずじまいで置いてあり、ようやく読めます。
コメント (2)
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