先日、FMで「So What」の出だしが流れてゐて、久しぶりに聴きたくなりました。
今さら、何も云ふこともない、名盤です。
マイルス・ディビスのディスクは、そう多くは持ち合はせてゐないのですが、
それでも1960年代の半ばまでは、どれも完成度の高い演奏ばかりです。
このころ、マイルスの1950年代末期の録音には、
”出来の悪いコルトレーン”が沢山セッションに参加してゐて、
師匠のマイルスに、「お前は、バカだ! ○○だ!」と云はれながら、
(それは、演奏技術に関しても、麻薬の常習に関してもー)
必死に乗り越へやうとする、歯を食ひしばったコルトレーンの音が聴けます。
確かに、このディスクでも、マイルスの水が流れるやうなミュートに対して、
まったく、無骨なまでのコルトレーンの音です。
キャノンボール・アダレイより、ゴツゴツとした演奏です。
以前、この頃のマイルスの映像をNHKで見たときに、
自分のソロが終り、コルトレーンのソロに代はった時に、
まるで興味がなさそうに煙草に火をつけてゐました。
(元々、マイルスは、さういふところがあったさうですがー)
この数年後には、コルトレーンは自らのバンドで破竹の演奏を展開してゆくわけですが、グループからのクビや再参加を繰り返しながら、それでも決してコルトレーンを棄てなかったマイルスの、許容度の大きさがすでに演奏にも現はれてゐるかのやうに、破綻のない緻密な演奏の連続のディスクです。
(写真は、ジャケット)