やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

アランフェス協奏曲/ジム・ホール

2006-07-25 | 書棚のジャズアルバムから







1975.4.録音。

すっかり、”名盤”になってしまったディスク、です。
四半世紀以上も前の録音ながら、聞くたびに、すべてが新しく聞こへるのは、
メンバーと、この盤を仕掛けたクリード・テイラーのセンスのよさでせう。
ジャケットも、洒落たものでした。

前半の(LPですと、A面)の3曲は、きはめてオーソドックスな、リラックスした演奏で、
後半のアランフェスも同様ですが、どれも参加メンバーの抑制された演奏が美しい。

信じされない程の弱音で出てくるポール・デスモンドのサックス。
甘く、スキャットのやうなチェット・ベイカーのトランペット。
この頃、乗りに乗ってゐたロン・カーターの強いベース。

ジム・ホール(おじさん)の演奏の旨さ、センスのよさ、渋さは勿論ですが、
小生は、このなかのローランド・ハナのピアノが好きでした。
元々正規のピアノを学んだといふ彼のピアノは、その音色も素晴しく、
この後に録音された「プレリュード集」といふアルバムは、心象風景集のやうな素敵なものでした。

CTIといふレーベルのディスクで、当時、一連のヒットしたアルバムを”軟弱もの”と決めつける風潮や批評もあったやうに思ひますが、今にすれば、当時のジャズファン(小生もしかり、でせうが)は、
きはめて気持ちの狭い、凝り固まったファンであったといふことでせう。

確かに、薄暗いジャズ喫茶で、長髪(小生も、さうでした! 今は、昔…!)の青年達が固いソファーに身体をまかせ、時にテーブルを見つめ、時に天井を見ながら黙々と音楽を聴いてゐる図、なんて、今ではやはり笑ってしまひますからー。
そして、その場での音楽は、コルトレーンだったり、A・アイラーだったりするわけで、
この、ディスクのやうな甘く、かろやかな音楽ではある意味、場違ひでもあったのでせうけれどー。



(写真は、LPより)